未来へ行くタイムマシンは原理的に可能であることについて、またそのモデル

未来へ行くタイムマシンは、現在の科学に則っても否定されない。相対性理論における、いわゆる「時間の遅れ」を利用すればよいのである。これは別に当り前のことで、実際に原子時計によって、時間の遅れが生じることが実証されている。のではあるが、ちょっと自分には解決できていないことがある。それは、こういうことである。速さvで互いに離れていく慣性系を考える場合、慣性系Aから慣性系Bを見ると、もちろん相手Bの時計は遅れているように見えるが、すべての慣性系は同等であるから、BからAを見ても、Aの時計は遅れているように見える。これはまた当り前の話であり、問題はない。
 で、地球AからロケットBが出発し、適当に折り返して、またAに戻ってくるとする。ここで加速減速は瞬間的に行われ、反転もvから-vへ瞬間的に変るとし、途中の速度(の絶対値)はvで一定だとすると、ロケットが地球に帰ってきたとき、どちらの時計が遅れているのか、わからなくなってしまう。この矛盾は、加速減速が瞬間的だと仮定したことによるのだろうか。実際、ロケットが一定の(0でない)加速度を持つとすれば、AとBは対称的でなくなる。地球にいる人は加速による力を感じないが、ロケット内の人は加速を感じるからだ。
 この時、特殊相対性理論を用いるべきなのか、一般相対性理論を用いるべきなのか。というのも、特殊相対論でも、(誤解されていることが多いが)加速度を扱うことは可能だからだ。しかしここでは、慣性系という条件自体が成り立たないので、一般相対論を用いるべきかとも思われる。
 まあ、実際に一般相対論で計算してみればよいのだが、素人にはなかなか面倒なのだ。もうちょっと考えてみよう。

追記

などと考えて参考書を見たりしていたら、内山龍雄の『相対性理論』のp.20-27に解説があった。やはり一般相対性理論が必要だった。しかし、これはかなりむずかしい。ちょっと注記しておけば、加速減速の際と折り返しの際、ともに一般相対論が必要なのは自分の考えたとおりだが、(地球A付近の)加速減速の際の効果は結局、AとBの間で相殺されてしまい、効果があらわれるのは、折り返しの際だということである。
 また、地球AからロケットBの折り返しを見るとき、AはBに重力以外の力(例えばロケットの推進力)が掛かっているように見えるので、一般相対論による効果は認められないが、BからAの折り返しを見るとき、ロケットBの周りに重力場が発生し、地球Aに加速による「重力効果」(一般相対論的な効果)があらわれるように見える、というのはおもしろい。一見、逆のような気がしてしまうのだが。

相対性理論 (物理テキストシリーズ 8)

相対性理論 (物理テキストシリーズ 8)