高橋昌一郎『知性の限界』

雨。
高橋昌一郎『知性の限界』読了。哲学ディベート風に書かれている。特に驚くべき内容はなかったが、知っているというのと、実際にこのような本を書いてみせるというのは、大きく違う。その意味で、著者の手腕は大したものだし、若い人、初学者には、大変な刺激になるのではなかろうか。様々な「流派」の意見も、だいたい公平に描かれていると思う。個人的には、量子論観測問題など、「この先を聞きたい」と思ったところで、「そのお話は、別の機会にお願いします」というのが重なったので、残念に思ったところもあったけれども。しかしまあそれは、別の書物を参照して考えれば、よいことであろう。本書は、ジャンルとしては哲学になるのだろうが、科学についてもよく咀嚼されているのは明らかで、その点でも好感がもてる。

知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)

知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)