山口昌男『仕掛けとしての文化』/中村紘子『ピアニストという蛮族がいる』

曇。
山口昌男『仕掛けとしての文化』読了。山口の名は最近あまり見かけないけれども、忘れてしまってよい思想家であろうか。「道化」「トリックスター」「中心と周縁」といった語を流行らせ、一時期は危険な物書きだった。こういうフットワークの軽い知性は、今では本当に少なくなってしまった。山口の他の著作はこちら

中村紘子ピアニストという蛮族がいる』読了。素直におもしろいと云えるエッセイ集だ。初の純国産ピアニストといわれる、久野久の悲劇的な生涯には、日本人として身につまされたり、また、「カンガルーと育った天才少女」アイリーン・ジョイスについては、その録音が猛然と聴きたくなったりする。文章にはっきりとした個性があって、実に読ませる。読んでいて、つい夜更ししてしまったほど。
ピアニストという蛮族がいる (文春文庫)

ピアニストという蛮族がいる (文春文庫)