鹿島茂『吉本隆明1968』

曇。
「恵那」で昼食。
鹿島茂吉本隆明1968』(isbn:9784582854596)読了。日録に書く。書かなかったことで、ちょっと気になるところがあったので、引用しておく。

現在、日本のアカデミズムでは、学生確保のために、研究領域を、日本の漫画、アニメ、映画、テレビ、エンターテイメントなど、いわゆるサブカルとかクール・ジャパンと呼ばれるものにまで広げていこうとする傾向がありますが、これは、じつは、日本のこうした境域の活動が興隆期、成熟期を経て、衰退期に入ったからこそ可能になったものなのです。もし、それが興隆期、成熟期にあって「実態的」に元気に存在している場合には、これを「概念的」に捉えることは難しいのですが、衰退期に入り、活動のパワーが衰え始めることによって逆に概念的把握が可能になり、一般的、抽象的に論ずることができるようになるのです。そこから、日本的なサブカルの極端な「理想化」や、あるいはその逆の極端な「断罪」も起こってくるのです。(p.392)