岩田規久男『世界同時不況』/エデルマンの弾くバッハ

曇。
エデルマンの弾くバッハのCD(asin:B001Q6IGLM)に大変に感動、感想を日録に書く。


岩田規久男『世界同時不況』(isbn:9784480064783)読了。今回の世界金融危機の原因だけでなく、一九三〇年代の世界恐慌や、日本の昭和恐慌、「失われた十年」などの歴史的経緯を解説しながら、今回の世界同時不況に対する処方箋を提示している。著者は、昭和恐慌に対する高橋是清蔵相の対応を高く評価し、その主たる政策である、大規模な金融緩和を今回も採用すべきだという。その他の施策としては、インフレ目標の設定、日銀による大量の長期国債買いオペ、CPの買取なども提言しているが、特に、日銀が金融緩和策を断固として続けるべきことを強調している。「失われた十年」の際の日銀の誤りは、バブルを懸念するあまり、景気が回復してくるとすぐに、日銀がその芽を摘んでしまっていた点にあるといい、その轍を踏まないように、ということだ。
 全般的に、むずかしい問題についても概ねよく噛み砕いて書いてあり、素人目にはかなり説得力があった。例えば一九三〇年代の世界恐慌の原因(それは、アメリカが金本位制のルールを守らなかったためらしい)など、歴史的分析も勉強になった。