ゲニウス・ロキ/秋月龍萊

晴。
鈴木博之『東京の地霊(ゲニウス・ロキ)』(isbn:9784480092014)読了。東京に関する本は文庫でもかなりあるし、東京に住んだことのない自分ですら多少は読んだくらいだが、例えば岐阜などについてこのような本が書かれることは、ほとんど想像できない。まあそんなのは、書く人も読む人もいないだろうが。しかし、昔から人の営みがあったという点では、東京であろうが岐阜であろうが、何の違いもないのだけれども。岐阜の genius loci は、既に死に絶えてしまったのだろうか? そうでもないとは思うが、するとどこに宿っているのか、これは考えるに値することかもしれない。
カルコスへ行く。各務原インターの辺りの、ファスト風土的郊外の風景が身に沁みる。


秋月龍萊『現代を生きる仏教』(isbn:458276407X)読了。今まで読んだ秋月師の著作の中でもっとも感銘を受けた。師も哲学と宗教の、「異種交配」の人だったのだなと思う(もちろん宗教が第一なのだが)。西田哲学を(乱暴にも)敢て一言でいえば、「自我から物を見ないで、世界からものを見ることだ」(柳田謙十郎)、というのは見事だ。華厳の話ももっと聞いていたいと思わせられた。仏教は「無霊魂論」「無神論」だ、「あの世」はないというのも厳しい言葉である。
 これからの世の中こそ仏教が必要なのだというのは、まさしくその通りだと思う。それが可能なように、我々一人ひとりが、深く思いを潜めることができればよいが。