つぶやき

「その着せ替え人形は恋をする」(2022)を観る

晴なれど雲多し。 起きてなかなかよい精神状態で、僕がクリエイティブな人間ならうまく仕事に入れそう、という感じなのだが、残念なことにすることのない凡人である。で、仕方ないのでぼーっとしている。本を読んだり音楽を聴いたりなどすれば、この状態は崩…

我々バブル世代のこと / 巨大アーカイブとわたしたち / 種村季弘『ヴォルプスヴェーデふたたび』

日曜日。雨。 また新しい月が始まる。時はどんどん流れる。いや、新しい一日が始まるのだ。眠ることにより、目覚めた状態の意識の連続性はリセットされ、それは救いでもある。 でも、朝起きて、「ああ、また一日が始まるのか」と憂鬱になる人もいるのだよな。…

「凡庸の集積」としての村上春樹

薄曇り。 昨日、大江健三郎と村上春樹を対比するようなことをしたが、大江健三郎は「先端の集積」、先端中の先端、非凡中の非凡ともいえる。対して村上春樹は「凡庸の集積」、ジャンク、貧しいものたちを大きなひとつのパースペクティブで語ったようなものだ…

ムダに少子化を考える / 桑野隆『バフチン』 / 「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」(2021)を観る

晴のち曇。涼しい。 少子化の原因として、そもそも結婚しない、また、結婚しても子供を作らない、ということが考えられる。後者、「結婚しても子供を作らない」は経済的原因と、そうでないのに分けられる。経済的原因ならば、それを支援すればよい。また、そ…

社会科学化した生

曇。 社会科学化した生。我々は生きることから概念を抽出するのではなく、概念によって、概念の中で、概念に合わせて生きるようになってきている。生=概念。概念という型に嵌めた生。人文学の凋落は、そういう時代思潮と関係があるだろう。人文学は、まさに…

甥っ子の勉強を見る / 真貝寿明『宇宙検閲官仮説』

曇。 「自分はダメだー」っていう無限ループに陥ったとき、まさにその場所にも清冽な泉は湧き得るんだけれど、心の純粋な領域(それは汚い現在位置とまさに同じ場所の、次元の裏側にある)にフォーカスを当てるのは、ちょっとコツが要るんだよねー。それがい…

濱口桂一郎『家政婦の歴史』

晴。 NML で音楽を聴く。■モーツァルトのピアノ協奏曲第十六番 K.451 で、ピアノはルドルフ・ゼルキン、指揮はクラウディオ・アバド、ヨーロッパ室内管弦楽団(NML)。 ■モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第十九番 K.302、第二十番 K.303、第二十一番 K.304…

東浩紀さんを再読、デラシネされた幻想たちとポストモダン的データベース

曇。 中学か高校の先生をしている夢を見る。授業をしていたのだが、家庭科と保健を併せたようなへんな教科を教えていて、何なのだろうな。また、生徒がグループに分かれたように座っていて、わたしはその間を歩きながら講義をしていたのも謎だった。 昼食に…

日本の若者とエコグリーフと「希望」 / 『コレクション瀧口修造9』

朝、驟雨。 スーパー。にわか雨のせいか客が少ない。マスコットキャラのお誕生日だというアナウンスが流れてちょっと可笑しくなる。なんだそれ。創業記念日、ってことでもないようだ。 今朝の朝日新聞に、動物行動学者のジェーン・グドールさん(89歳)への…

精神の貧しさとこの時代

晴。 寝ている間に凡庸化、それはかまわないが、生きとし生けるものへの惻隠の情は、心の土台であることをあらためて痛感する。これがないと、心はとんでもないところへ至ってしまう。と、いつもいうことであるが。 NML で音楽を聴く。■バッハの無伴奏チェロ…

「象徴界」の優位性と哲学、「知」の腐敗

晴。毎日酷暑。 午前中に図書館。四方田犬彦の『大泉黒石』、KAWADE道の手帖『種村季弘』を借りる。大泉黒石というのは、大正時代のベストセラー作家らしい。 ドラッグストア。 夕方、カルコス。岩波新書の國分功一郎『スピノザ―読む人の肖像』、中公新書の…

自己・妄想・自己同一性

曇。 今日は朝から大垣なのに、ぐうぐう寝ていて起こされて飛び起き、睡眠の後始末もせずに家を出る。ずっとぼーっとしていて、運転している間じゅう、「自己」に関する切れ切れの想念というか妄想というか、そんなものが、頭の中で転がっていた。わたしは仏…

マジメすぎる現実と下らないアニメ / 町田康『口訳 古事記』

晴のち曇。 たくさん夢を見たのを覚えている。 アニメ(似たようなことがゲームにもいえると思うが、ゲームについては何も知らない)が現在我々の日常が高度に知性化したことのアンチテーゼとして機能しているということはあると思う。アニメは非現実的な世…

及川琢英『関東軍』

晴。 深夜一時頃に目覚める。しばらく『関東軍』の続きを読み、また朝まで眠る。 夢なのか半分うとうとしていたのか、高校数学の「xはaに限りなく近づく」ではダメで、大学レヴェルのいわゆる「ε-δ論法」でないといけない理由はなんだろう、などということを…

山内志朗『中世哲学入門』

曇。 朝四時台に起きる。 『中世哲学入門』の続き。承前。第四章、第五章、第六章を読む。ここからドゥンス・スコトゥスの「存在の一義性」の話となる。ドゥルーズが『差異と反復』の中で華々しく復活(?)させた概念ということで、注目されるし、キリスト…

シュルレアリスムと抑圧

夜の間に降ったようだ。曇。 何もない畑を耕すということ。 襞。ドゥルーズのバロック本にそういう題のがあったな。この本はもっていなくて未読で、図書館にもないみたいだ。襞としての精神。魅力的な比喩だな。 ドゥルーズ『差異と反復』(文庫版)を再読し…

「生命」の核心は情報化できない、では、モノの「モノ感」は情報化可能か?

薄曇り。 心の土台と心の純粋な要素は、水とアルコールが入り混じるように混淆していると中沢さんは、『精神の考古学』で述べていたと思うが、この混淆を分離して、心の純粋な部分の中に住まうことは、ある程度必要だ。ただ、この状態は恒久的なものではない…

最近よく思い出す話 / 「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」(2023)を観る

晴。 どこで読んだのだったか、誰かのブログだったか、最近よく思い出す話がある。海辺に座って、ふたりで一日中ただ海をずっと見ているだけの、アイヌの親子、というものだ。何も他人の役にたたず、何の生産性もない生き方だが、そういう一生は、何の意味も…

我々は(精神的に)貧しいのか(といういつもの疑問) / 岐阜市民会館にて落語会

曇。 大垣。 ミスタードーナツ大垣ショップ。タコスミート&チーズパイ+ブレンドコーヒー415円。 渡辺京二さんの有名な『逝きし世の面影』を読み始める。元本刊行が1998年で、そんな最近の(?)書物なんだと思った。先入観として、かつての懐かしきよき日…

こともなし

曇。 ウクライナ戦争で見えてきたのは、ウクライナとロシアの双方がどこかで妥協しなければ、この戦争はたぶん終わらないということだ。しかし、ウクライナもロシアも、妥協することは考えられないし、また(アメリカを筆頭とする)ウクライナを支持する「民…

ポストモダン思想と「知恵」 / 原武史『最終列車』

曇。 NML で音楽を聴く。■ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第九番 op.59-3 で、演奏はボロディン四重奏団(NML、MP3 DL)。■西村朗の「星の鏡」「三つの幻影」「法悦の鐘」で、ピアノはルーカス・ユイスマン(NML、MP3 DL)。 いわゆるフランス現代思想、ポスト…

亀山郁夫『人生百年の教養』

日曜日。雨。 眠って朝目覚めたときの自分と、日常の自分を繋げていく。 雨の中のローズマリー。 昼食はモスバーガーのドライブスルーにて。ちょっと食べすぎた。 インスタントコーヒーで休憩。 ほんと、心には最終的な安定というものがなくて、すぐにぶっ壊…

日本の田舎のインフラ投資

晴。 起きて家族旅行のブログ日記を書く。 木蓮が満開。 スーパー。プリペイドカードをチャージしておくのを忘れていた。 家族旅行で舞鶴若狭自動車道とか、京都縦貫自動車道とかの田舎の「新しくてモダンな高速道」を車で走ったわけだが、日本は田舎に膨大…

チャールズ・テイラー『<ほんもの>という倫理』

晴。 もともとは生殖が中心だった。それは人間が生物である以上、当然のことだったといえる。しかし、現代は生殖よりも仕事が大事な時代だ。会社。資本主義。 スーパー。 毎日いい天気で気持ちがいい。外出に上着がいらなくなった。 ほんと、AI の進歩という…

「希望=近代化=高度資本主義化」に必ずしもあらず / ヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』 / 「子猫をお願い」(2001)を観る

曇。ぶ厚い雲に覆われている。夜のうちにかなり降ったらしい。 スーパー。 少し肌寒い。 昼飯を食いながら NHK の「キャッチ!世界のトップニュース」の特集を観ていたのだが、鹿児島の中学校でアフリカについて皆んなで勉強していて、「キャッチ!」のキャス…

西村紗知という才気ある批評家

晴。 「僕らはみんな河合荘」(2014)第2話まで観る。 居間のエアコンの修理のため、昼食が遅れる。 webちくまで連載されている、 西村紗知(このブログで過去に言及している筈だが、リンクタイトルを引用しただけのようでブログ検索で見つからない)の『愛…

岡本太郎の禍々しいヴィジョン

晴。 岡本太郎のヴィジョンには何か禍々しいものを感じる。人類が滅び去ったあと、その悪意だけを凝縮したギョロギョロ目玉の化物たちが、永遠の不毛の闘争を繰り返している、とでもいったような。あまり明るいものを感じない。しかし一方で、これは正確なヴ…

強固な「モダン」の崩壊というジレンマ

晴。 スーパー。ロマネスコというへんな野菜を見つける。ブロッコリーみたいだが、何か形状がフラクタル構造っぽくて、ちょっと気持ちが悪い。熊本産だった。 YouTube では最近、やくしまるえつこ/相対性理論を時々聴いている。CD をレンタルしようかとずっ…

こともなし

晴時々曇。 ずっと扉をあけて中へ入り続けていった先にある、超微細なモナドによる無色透明の空間。この空間を得たところで、すごいと思われるどころか、愚、あるいは極平凡に見えてしまうところがおもしろい。精神が汚物で満たされ、糞づまりになっている人…

アニメにおける「型」あるいは「冴えカノ」におけるそこからの逸脱

日曜日。曇。 NML で音楽を聴く。■バッハの管弦楽組曲第二番 BWV1067 で、指揮はジョン・エリオット・ガーディナー、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(NML、CD)。■ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタで、ヴァイオリンはパトリツィア・コパチンスカヤ…