2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

北田暁大『増補 広告都市・東京』/J・S・ミル『大学教育について』

日曜日。驟雨。 カルコス。 北田暁大『増補 広告都市・東京』読了。北田氏ってかしこいのに(から?)、どうしてどこかシニカルなテイストがあるのか。内容は面白いです。増補 広告都市・東京: その誕生と死 (ちくま学芸文庫)作者: 北田暁大出版社/メーカー:…

シュニッツラー『花・死人に口なし』/『密教経典』

曇。 シュニッツラー『花・死人に口なし』読了。どれもこれも、押しなべて「恋愛」と「死」が題材となっている。それも、大恋愛というよりは、ささやかな、「市民」の恋愛。いかにも世紀末ウィーン、爛熟の時代の作家という気がする。現代からは遠いともいえ…

ドン・デリーロ『ボディ・アーティスト』

曇。 ドン・デリーロ『ボディ・アーティスト』読了。散文詩のような小説。ありがちとも云える。印象は薄い。ボディ・アーティスト (ちくま文庫)作者: ドン・デリーロ,上岡伸雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/07/08メディア: 文庫購入: 1人 クリック:…

吉見俊哉『万博と戦後日本』

曇。 吉見俊哉『万博と戦後日本』読了。原本はちくま新書『万博幻想』。万博と戦後日本 (講談社学術文庫)作者: 吉見俊哉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/07/12メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (6件) を見る

岡本太郎の宇宙3『伝統との対決』

曇。 岡本太郎の宇宙3『伝統との対決』読了。すこぶる刺激的で、しかも全面賛成というわけにはいかない。太郎と対決していくのが、太郎の正しい読み方であろう。それにしても岡本太郎というのは、勘所はぐいと掴みながら、矛盾(例えば太郎は洗練を忌避する…

グールドのレニングラード・ライブ

曇のち晴。 大垣。BOOK OFF大垣バイパス店。 大きいムカデが出る。蒸し暑いからなあ。 # グールドのライブ録音つづき。1957年レニングラード・リサイタルのベートーヴェン、ピアノ協奏曲第二番。普通の演奏ではないか! 極め細かいニュアンスがじつにナチュ…

浅川芳裕、飯田泰之『農業で稼ぐ! 経済学』

雨のち曇。プールとアピタ。 浅川芳裕と飯田泰之の共著『農業で稼ぐ! 経済学』読了。農業の経済学的なキモを、ここまでしっかり分析・把握した本というのは、これまでどれくらいあったのだろうか。飯田氏のような優れた経済学者が、農業について語ってくれ…

羽海野チカ『3月のライオン』第6巻/吉本隆明『真贋』/ウィリアム・エンプソン『曖昧の七つの型(下)』/大野左紀子『アーティスト症候群』

日曜日。晴。 カルコス。 羽海野チカ『3月のライオン』第6巻読了。うー、うるっとしてしまう。俺ってナイーヴだなあと思うが、どうしようもない。みんな闘っていますね。3月のライオン 6 (ヤングアニマルコミックス)作者: 羽海野チカ出版社/メーカー: 白泉…

三島由紀夫『夏子の冒険』

晴。 三島由紀夫『夏子の冒険』読了。我儘お嬢様の冒険物語という、通俗的エンターテイメントとしか云いようのないものであるが、楽々と、きちんと造りこんであるのはさすがだ。こういうのを読んでいると、三島はやはり、お話を書くのが本能的に(?)好きだ…

イェイツ詩集『薔薇』/グレン・グールドの1957年モスクワ・リサイタル

曇。 イェイツ詩集『薔薇』読了。尾島庄太郎訳。高密度の訳詩。薔薇―イェイツ詩集 (角川文庫)作者: W.B.イェイツ,William Butler Yeats,尾島庄太郎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1999/01/01メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見…

岡本太郎の宇宙5『世界美術への道』/ウィリアム・エンプソン『曖昧の七つの型(上)』

曇。 岡本太郎の宇宙5『世界美術への道』読了。知性と直感力の類稀な結びつき。太郎の直感力は誰も否定しないだろうが、知性はどうだろう。実際は、頭もたいへんにいい人なのだ。論理を扱うなど太郎にとってはやさしいことで、だからこそ知性で割り切れない…

渡辺京二コレクション1『維新の夢』

晴。 渡辺京二コレクション1『維新の夢』読了。日録に書く。維新の夢 渡辺京二コレクション[1] 史論 (ちくま学芸文庫)作者: 渡辺京二出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/06/10メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (21件) を見る

松浦理英子、笙野頼子『おカルトお毒見定食』/本川達雄『生物学的文明論』

雨。台風さらに接近。 松浦理英子と笙野頼子の対談集『おカルトお毒見定食』読了。読む前から「面白いにきまっている」と思ったが、やはりそうだった。この二人が友達ってのは、何ともいいね。おカルトお毒味定食 (河出文庫―文芸コレクション)作者: 松浦理英…

NHKスペシャル「世界ゲーム革命」

昨年12月12日に放送され、録画しておいた、NHKスペシャル「世界ゲーム革命」を見る。今のゲームの刺激の強さに驚く。人間は何にでも慣れるが、これはほとんど麻薬的な中毒だ。かつてゲームが出だした頃、そのうち一生ゲームをやって過ごせることになるだろう…

『井伏鱒二文集2 旅の出会い』

休日。曇。台風近づく。 なでしこジャパンW杯優勝! すごい! # 『井伏鱒二文集2 旅の出会い』読了。井伏鱒二文集〈2〉旅の出会い (ちくま文庫)作者: 井伏鱒二出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2004/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る…

マルコ・ポーロ『東方見聞録2』/吉田敦彦『オイディプスの謎』

日曜日。酷暑。 カルコス。 マルコ・ポーロ『完訳 東方見聞録2』読了。黄金の国チパングの話は本巻。「弘安の役」のことまで載っているとは。東方見聞録2 (平凡社ライブラリー)作者: マルコポーロ,Marco Polo,愛宕松男出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2000/…

マルコ・ポーロ『東方見聞録1』

晴。 太陽光発電のパネルの取り付け工事が完了する。 マルコ・ポーロ『完訳 東方見聞録1』読了。2010年第2刷。面白いのにあまり読まれていないのだな。東方見聞録1 (平凡社ライブラリー)作者: マルコポーロ,Marco Polo,愛宕松男出版社/メーカー: 平凡社発売…

こともなし

晴。溽暑。 あまり面倒なものは読まない。『東方見聞録』を読む。

青柳いづみこ『グレン・グールド 未来のピアニスト』/町田康『パンク侍、斬られて候』

晴。「3pigs」にて昼食。 青柳いづみこ『グレン・グールド 未来のピアニスト』読了。日録に書く。グレン・グールド―未来のピアニスト作者: 青柳いづみこ出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/07/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (13…

上林暁『星を撒いた街』

晴。 朝一番でプール。アピタ。 上林暁『星を撒いた街』読了。上林の小説は文庫で二冊読んだことがあるだけだが、山本善行氏の撰になるこのアンソロジーを読んでみて、陳腐な表現になってしまうけれども、そのすばらしさに驚かされた。一字一句、心に沁み入…

小林敏明『<主体>のゆくえ』

晴。 小林敏明『<主体>のゆくえ』読了。がっちりとした学術書であるが、読み物としてとても面白い。英語でいうsubject(対応する語は、各ヨーロッパ語にある)という語が日本に入ってきてからの、訳語と用法の変遷をたどったものである。基本的には「主観…

バタイユ『エロティシズムの歴史』/メルロ=ポンティ『知覚の哲学』/佐々木力『ガロワ正伝』/平出隆『ベルリンの瞬間』/細野晴臣のCD『HoSoNoVa』

晴。「恵那」にて昼食。恵那ころ蕎麦。 ジョルジュ・バタイユ『エロティシズムの歴史』読了。エロティシズムの歴史: 呪われた部分 普遍経済論の試み 第二巻 (ちくま学芸文庫)作者: ジョルジュ・バタイユ,湯浅博雄,中地義和出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: …

ナゴヤドームで野球観戦/米原万里『真夜中の太陽』

日曜日。晴。 ナゴヤドームへ野球を観に行ってきましたよ。中日・横浜戦で、先発は中日が新人の伊藤準規、相手はハマの番長だ。試合は中日が1点リードの展開だったが、伊藤が7回に2死球1四球で自滅。結局3−1で中日の負け。暑いなか、わざわざ片道2時…

「すばる」8月号・中沢新一「太陽と緑の経済」/ガルシア=マルケス『族長の秋』

晴。 カルコス。 「すばる」8月号の、中沢新一「太陽と緑の経済」を読む。経済を、交換による閉じた同質性からなる「第一種」のものと、キアスム構造をもつ、異質なものを取り入れてくる「第二種」のものとに分け、それらの結合によって新たな経済システム…

田中秀臣『経済政策を歴史に学ぶ』

晴。もう梅雨明けだって。 田中秀臣『経済政策を歴史に学ぶ』読了。ちょっと古い本だが、現在でも何の修正もいらない。新書とは思えないほどハードな本だ。経済理論に精通した経済史家の真骨頂が発揮されている。小泉純一郎元首相の構造改革が、歴史的な「先…

エウジェニア・リコッティ『古代ローマの饗宴』/古川日出男『二〇〇二年のスロウ・ボート』

雨。 エウジェニア・S・P・リコッティ『古代ローマの饗宴』読了。古代ローマの饗宴 (講談社学術文庫)作者: エウジェニア・サルツァプリーナリコッティ,武谷なおみ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/05/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品…

中井英夫『幻想博物館』

晴。夜雨。 中井英夫『幻想博物館』読了。暗い美を湛えた、幻想世界である。耽美であって、しかも純粋に読む楽しみに満ちているという、不思議な短編集だ。ストイックでスタイリッシュな文体がまた、日本離れしていて好ましい。こういう工芸品のように彫琢さ…

横山三四郎『ロスチャイルド家』

晴。 横山三四郎『ロスチャイルド家』読了。ロスチャイルド家については何も知らなかったので、基本的な事実を知って興味深かった。もちろん「ユダヤの陰謀」とか、そういうセンセーショナルな与太話は書いていない。ロスチャイルド家は基本的に、正確でどこ…

野呂邦暢短篇選『白桃』

曇。夜雨。 プール。イオン。 野呂邦暢短篇選『白桃』読了。文章はいいと思う。でも、こういう小説群がつらいのは、やはり文学がわかっていない証拠だろうか。正直、最後の「花火」でホッとした。それから、野呂の読み方としておかしいのかも知れないが、相…

マイケル・サンデル『公共哲学』/中沢新一監修『日本のもと 神さま』

日曜日。晴。昨晩は早く寝てしまったので、今朝は五時半に起きてしまった。既に明るくて、起きたとき一瞬朝か夕方かわからなかった。 マイケル・サンデル『公共哲学』読了。まあ特に云うことはないのだが、第二十九章のロールズ追悼文のラストがあざやかで、…