2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『谷川俊太郎詩集1 空の青さをみつめていると』

晴。 『谷川俊太郎詩集1 空の青さをみつめていると』読了。文庫版自選詩集。大岡信の解説が参考になった。解説を読んでもう一度、「六十二のソネット」からの詩を読み直してみた。空の青さをみつめていると―谷川俊太郎詩集 1 (角川文庫 (2559))作者: 谷川俊…

堀江敏幸『未見坂』/ポール・モラン『シャネル』/小林、廣瀬、佐藤『解析序説』

休日。晴。 十一時間くらい寝て、我ながら呆れた。なんとももう最近、怠惰。 堀江敏幸『未見坂』読了。いつもながら、上手すぎるくらい上手い。自分はいま田舎(郊外)住まいなのだが、田舎って本来こういうものなのかなと思う。もっと退屈で、もっとさびれ…

佐藤泰志『移動動物園』

晴。 佐藤泰志『移動動物園』読了。『海炭市叙景』の文庫化で復活した作家。文体に力がある。若さが描かれ、血や汗や汚物の匂いがする。特に「移動動物園」がいいが、もっと長いともっと良かった。移動動物園 (小学館文庫)作者: 佐藤泰志出版社/メーカー: 小…

ジャンバティスタ・バジーレ『ペンタメローネ(下)』/伊勢崎賢治『紛争屋の外交論』

夜、雨沛然。 ジャンバティスタ・バジーレ『ペンタメローネ(下)』読了。英訳からの重訳。原文はナポリ方言で、現代ではイタリア人でも読めないものらしい。民話の宝庫である。ペンタメローネ (下) 五日物語 (ちくま文庫)作者: ジャンバティスタ・バジーレ,…

小沼丹『椋鳥日記』

曇。 「3pigs」にて昼食。 小沼丹『椋鳥日記』読了。ロンドン日記。特別な事件といったことは何も起こらないが、淡々と日常を書いて読ませる。床屋の親父の話など、絶品。椋鳥日記 (講談社文芸文庫)作者: 小沼丹,清水良典出版社/メーカー: 講談社発売日: 200…

ジャンバティスタ・バジーレ『ペンタメローネ(上)』

雨が降ったり晴れたりする、奇妙な天気。 プール。アピタとその本屋。 ジャンバティスタ・バジーレ『ペンタメローネ(上)』読了。ボッカチオの『デカメロン』に影響を受けている。ペンタメローネ (上) 五日物語 (ちくま文庫)作者: ジャンバティスタ・バジー…

小林敏明『西田幾多郎の憂鬱』

日曜日。曇。 カルコス。 小林敏明『西田幾多郎の憂鬱』読了。日録に書く。『精神病理からみる現代思想』には相当うんざりした筈だが、本書は素晴らしい。前は自分に眼がなかったのかな。西田幾多郎の憂鬱 (岩波現代文庫)作者: 小林敏明出版社/メーカー: 岩…

内藤淳『進化倫理学入門』

雨。 内藤淳『進化倫理学入門』読了。本書では、人間の行動は必ず当人の利益にかなうよう選択される、と述べられる。もちろんこれは、特にめずらしい意見でも何でもない。昔から主張されてきた、凡庸ともいえる説である。本書(あるいは「進化倫理学」)の肝…

こともなし

雨。怠惰な一日。 インバルの指揮する、マーラーの交響曲第四番を聴く。新録音(参照)。とても思い入れを込めた演奏だ。都響が頑張っている。

T・S・エリオット『四つの四重奏』/網野善彦、石井進、福田豊彦『沈黙の中世』

晴。 久しぶりにカルコス。BOOK OFFに、母に頼まれた本を売る。 T・S・エリオット『四つの四重奏』読了。岩崎宗治訳。訳詩を読んだだけで、エリオットについて何かを語れるはずもないが、訳詩を読んだだけでも、日本語のモダニズム詩として魅力があること…

ソログープ『かくれんぼ・白い母』/川北稔『民衆の大英帝国』

晴。 ソログープ『かくれんぼ・白い母』読了。かくれんぼ/白い母―他二篇 (岩波文庫 赤 641-1)作者: ソログープ,中山省三郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1937/12/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る川北稔『民衆の大英帝国』読了。ライ…

ヴァッケンローダー『芸術を愛する一修道僧の真情の披瀝』

晴。小寒い。 ヴァッケンローダー『芸術を愛する一修道僧の真情の披瀝』読了。芸術を愛する一修道僧の真情の披瀝 (岩波文庫)作者: ヴァッケンローダー,江川英一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1939/06/03メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブロ…

海野弘『ココ・シャネルの星座』/斎藤環『キャラクター精神分析』

晴。 プール。アピタのくまざわ書店が増床してリニューアル。これは有難い。 海野弘『ココ・シャネルの星座』読了。シャネルの生涯を、その周りにいた十二人の人々の視点から、物語風に描くという試みである。著者の思い入れのせいか、筆致が段々と感傷的に…

奥泉光『石の来歴/浪漫的な行軍の記録』

日曜日。晴。 奥泉光『石の来歴/浪漫的な行軍の記録』読了。「浪漫的な行軍の記録」の方が力作だ。退屈による苦痛で途中投げ出しかけたが、小説は最後まで読んでみないとわからないものである。太平洋戦争下のフィリピンにおける、流浪する日本軍が主題で、…

ル=グウィン『ヴォイス』/サントリーCM動画

晴。小寒い。 ル=グウィン『ヴォイス』読了。「西のはての年代記2」。いわゆる「ファンタジー」であるが、このジャンルの古典的な傑作といえるだろう。「書物」というものが本書のひとつの問題になっているのだけれども、象徴的な存在として重要視される「…

吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』

曇。 吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』読了。何という深く繊細な小説だろう。却って文学好きでない読者のほうが、著者の感性をスッと受け入れてしまえるような気がする。例えば本書の二篇とも、偶然が大きな役割を果たすが、小説技法的には、デウス・…

岡本太郎の宇宙1『対極と爆発』

晴。 大垣。 岡本太郎の宇宙1『対極と爆発』読了。強烈に面白い。「今日の芸術」は既読だったが、そんなことは関係なくまたインパクトを受けた。太郎には何かはっきり掴んでいるものがあって、それは何度も何度も形を変えて変奏されるように見えるけれども…

岡田温司『ジョルジョ・モランディ』/岩田靖夫『ギリシア哲学入門』

晴。 岡田温司『ジョルジョ・モランディ』読了。日録に書く。ジョルジョ・モランディ?人と芸術 (平凡社新書)作者: 岡田温司出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2011/03/16メディア: 新書購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (8件) を見る岩田靖夫『ギ…

ペスタロッチー『隠者の夕暮・シュタンツだより』

晴。 ペスタロッチー『隠者の夕暮・シュタンツだより』読了。隠者の夕暮・シュタンツだより (岩波文庫)作者: ペスタロッチー,長田新出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/09/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 19回この商品を含むブログ (9件) を見る自…

三上隆三『円の誕生』

晴。 プール。アピタ。 三上隆三『円の誕生』読了。明治になって考案された通貨単位「円」の成立を探る歴史書である。骨太の専門書なので、読み通すのは素人にはなかなか大変だったが、維新のとき日本が通貨単位の変更をとても考えぬいてやったことがわかっ…

佐々木中『足ふみ留めて』

日曜日。晴。暑くなってきた。 カルコス。 佐々木中『足ふみ留めて アナレクタ1』読了。色々貶したいような気もするが、結構元気が出る本なので、しない。既知の著作家の、じつに変なところを読んでいるのがまったく面白いのだ。それにしても、「孤高の俊傑…

シィエス『第三身分とは何か』

晴。 シィエス『第三身分とは何か』読了。新訳。これがフランス革命前夜に、夥しい数が即席で書かれた、パンフレットのひとつだったというのには驚かされる。アジテーションだけでなく、中身がとても濃い。まさしく、これは歴史を作った本というものだ。第三…

林浩平『折口信夫 霊性の思索者』

雨。 林浩平『折口信夫 霊性の思索者』読了。折口という人からは、色々な領域に通じているな。科学からは遠いが、そこが却って人々の関心を引くのかもしれない。正しいとか正しくないとかを超越した、不思議な人だ。たぶん自分はまだよくわかっていないのだ…

佐藤優『地球を斬る』/町田康『テースト・オブ・苦虫4』/矢作俊彦『神様のピンチヒッター』

曇。 佐藤優『地球を斬る』読了。外交やインテリジェンス(情報、諜報)というものをどう考えるかについて、時事問題に即して啓蒙してくれる本。しかし、一般市民はこういう問題を、どこまで勉強したらよいのだろうか。政治とか外交とかいう問題は、正確に理…

福永武彦『草の花』

晴。 福永武彦『草の花』読了。文学少女というのが今いるとすれば、好みそうな小説だ。そう云ったからといって、貶めているわけではない。美しい愛と死を描いた小説に違いはない。草の花 (新潮文庫)作者: 福永武彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1956/03/13…

青木健『マニ教』/エスポジト『三人称の哲学』

晴。 青木健『マニ教』読了。本書では「マーニー教」。よく西欧の書物に「マニ教的二元論」という言い方で出てくる。様々な宗教の混淆で、本書は「書物による宗教」と呼んでおり、一時期は西地中海から中国までに浸透した。しかしその魅力は、本書を読んでも…

こともなし

晴。 プール。 今日は精神的にきつかった。音楽をたくさん聴く。

バツェヴィチ作品集/荒井献『トマスによる福音書』

日曜日。晴。 妹一家来訪。カルコス。 荒井献『トマスによる福音書』読了。「トマス福音書」というのは、一九四五年にエジプトで発見された、「ナグ・ハマディ文書」に含まれていたもので、新約聖書の四つの福音書以外の福音書(外典)として、世界的なセン…

木村榮一『ラテンアメリカ十大小説』

晴。 写真屋。 木村榮一『ラテンアメリカ十大小説』読了。ラテンアメリカ文学はあまり読んでいないのだよな。本書を読むと、おもしろそうだ。著者の訳書がすごい。ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)作者: 木村榮一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/02…

2011年九州家族旅行(第三日)

朝起きると、宿のまわりは鶯の声で満ちていた。なんという多重コーラス。晴天。 朝一番、宿の車で平戸城まで送ってもらう。城は他にだれもいない。職員も道の掃き掃除などで、どうぞ御勝手にとのこと。天守からの眺望がいい。海峡や街並みを上から撮る。歩く…