健常者の「たましいの歪み」

曇。

ごろごろ。
昼寝。

珈琲工房ひぐち北一色店。今日はルワンダのコーヒーだったが、これがおいしかった。ルワンダというと、激しい内戦(「内戦」という語を使わない場合もあるようだ)と大虐殺というイメージしかなかったのだが、いまは目覚ましい経済発展の最中(さなか)にあるらしい。ということをネット検索で知った。
 河合隼雄先生の『宗教と科学の接点』を読み始める。第二章まで読む。河合先生は慎重な方であるが、第一章は「たましいについて」、第二章は「共時性について」で、先生にしては思い切って書かれたという印象。いろいろと考えさせられることが多すぎて詳しく書けないが、とりあえず先生の(それでも)慎重な態度が興味深かった。現代の日本では「たましい」も「共時性」も、この語を使っただけで「非科学的」と一刀両断してしまう人が多いからである。本書はだから、外国人との対話をふんだんに題材にしているが、その中で外国人の学者が「日本の学者は固い(rigid)」と評するのが示唆的だった。このような、「たましい」「共時性」という単語を見ただけで、まともに論じる価値なしと直ちに断じてしまうのである。一方では、自我の弱い人など、逆に「いかがわしい」方向にすぐのめり込んでしまったり。河合先生は、日本で「トランスパーソナル」を語るのは非常にむずかしいと仰る。だから、慎重に御自分の「臨床体験という事実」を強調される。こうしたことは、次第に受け入れられ、論じられていくだろうと先生は本書で考えておられるが、河合先生が亡くなられてみて、事態が悪化しているのをわたしは強く感じる。日本人は非常に素朴な科学的合理主義者になり、そうでなければ逆に簡単に「いかがわしい」方向へ行ってしまう。わたしがいかがわしい言い方で言ってみるに、日本人には人格から叡智というものが感じられる人がいまや非常に少なくなった、あるいは目立たないようになった。わたしは読書やネットという狭い世界を通じて、そういうのであるが。
 「叡智」じゃなくて「幼稚」は感じるのだけれどね。これは必ずしもネガティブにいうのではない。現在において、「幼稚」は非常に重要な観点だと思う。そのことは既に宣言(?)しておいた。現代日本(じつは日本に限った話ではないが)は、「幼稚」ということを除いては語れない。その意味で、叡智と幼稚を接続していく必要がある。そうして、「幼稚を容認することなく同時に肯定」しなければならない。
 あとは、現代日本における、人々の心の「病」。ここに注目していく必要があるのは明らかだろう。いま心を「病んで」いる人たちは、健常者たちの代わりに苦しんでいる側面があるとわたしは思う。ネットだけを見ても、いわゆる健常者の「たましいの歪み」のようなものがひどい。これは「健常者」の、上にも書いた「非常に素朴な科学的合理主義」というものとも強い関係がある。日本人の心はかつては比較的バランスが取れているところがあったのだが、いまではとてもそうはいえないように思う。そして、ここで書いてきたようなことは、いわゆる「科学」では扱いがむずかしいし、非科学的で一般に論ずるに足りないといった処遇を受けているわけだが。
 わたしは、ネットの外に何か希望を見出したい願望が捨てきれないのだが、どうなのだろう。「健常者」が常軌を逸しているのは、ネットの内だけなのではないか、ネットの外にはまともな人がいっぱいいて、大丈夫、すべてはわたしの取り越し苦労なのではないかと。でも、それはむなしい希望であるという予感も強くしている。なぜなら、いまやネットこそが我々のリアルになりつつあるから。

宗教と科学の接点 (岩波現代文庫 学術 435)

宗教と科学の接点 (岩波現代文庫 学術 435)

 

或る有名アニメを見ようとしたのだが、冒頭10分くらいで挫折。
代わりといっては何だが、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』を見返す。桜島麻衣編と古賀朋絵編を見たけれど、これ、今まで見た中で最高の神アニメだな。OPも大好きで、歌詞が麻衣ちゃんからの視点で書かれていて、聴いていると切なくなってくる。ああ、青春っていいなあという、おっさんマジキモい笑。

咲太、むちゃ変人だけれど、男前すぎるでしょう。これは男でも惚れる。高飛車で素直でない麻衣ちゃんの気持ちが動いていくのがほんと繊細に、よく描かれている。古賀朋絵編で咲太の勉強を見ているのも、心配になっているのが(見返してみると)よくわかって、かわいい。
 アニメではどうしてこの男に惚れるんだろうっていうのがわからないのが多いんだけれど、このアニメはわかる。古賀と咲太のウソんこカップルで、古賀が我慢しつつ本気になってしまうのが、麻衣ちゃん最初からよくわかってるんだよね。咲太、男らしいというか、やさしいというか。

こういうアニメがあるから、一般化してアニメの悪口が書けないのだよなあ。すばらしいです。でもまあ、あんまりアニメっぽくないアニメでもあるな。そこが好きかも。