J・M・クッツェー『鉄の時代』

曇。

今日読んだ新聞の論壇時評で、津田大介氏が一見いつものネット肯定論のようで、途中から「コロナで皆んな考えるようになっていー」とか論旨がすり替わっているよくわからない文章を書いているな。現状肯定論なの? しかし津田氏の論壇時評、いつもつまらんな。向いていないのに、むずかしいこと書こうとしすぎだよ。詰め込みすぎで論旨がぐちゃぐちゃ。
 確かに、政治がすごくツイッターを気にするようになったのはまちがいない。しかしそれはたんにいいことなのか、わたしにはよくわからない。芸能人がツイッターで政治的発言、つーのはまあどんどんやればいいのだけれど、芸能人も一般人も、ツイッターばっかしですな。まあ、ついにツイッターがパブリックな最強情報インフラになったということで、その功罪はこれからはっきりしてくるだろう。よかれ悪しかれ、世界がツイッター民主主義になるのはまちがいない。それは既に民主主義なのかもわからない。そして、権力によるツイッター管理も強くなっていくことであろう。(なおここでの「ツイッター」は将来他の SNS に置き換わる可能性のある一種の一般名詞である。)
 ネットこそが現実であるというわたしの日々の実感はますます強まるばかりである。そしてその事実は、時代遅れのわたしには正直言ってあまり心楽しくない。って、こんな日記をネットで書きながら何だであるな。

晴。
病院。肉屋。スーパー。かかりつけ医。

昼寝。


珈琲工房ひぐち北一色店。J・M・クッツェー『鉄の時代』読了。第四部。末期癌の白人老女と、浮浪者が一緒に暮らす最後の日々。もはやアパルトヘイトの話は断片的にしか出てこない。アメリカに住む娘、しかし彼女は、老女の手紙(それが本書である)を読んで不愉快になるかも知れないし、そもそも読むのかどうかさえわからない。訳者解説を読むと著者は魂は不死だと考えて(見做して?)いるそうで、本書の主人公の老女は他の小説で生まれ替わるそうだが、それはわたしにはどうでもいい。さて、小説を読むとは何だろうとかどうでもいいことを思う。源一郎さんは小説を読むほどおもしろいことは他にないと仰った。わたしは本書がおもしろかったか? 本書を楽しむには、もう少し高級な読書家である必要があるだろうな。わたしは残念ながらかかる存在ではなさそうである。

鉄の時代 (河出文庫)

鉄の時代 (河出文庫)

 
NML で音楽を聴く。■ウィリアム・バード(1540-1623)のパヴァンとガイヤリルド第二番ヘ長調、ロウランド「ウィロビー卿のご帰還」、「鐘」、「女王のアルメイン」、ラヴォルタ第二番ト短調、ファンタジア ト長調 第二番で、チェンバロは中村恵美(NML)。
ウィリアム・バード&ジャパン

ウィリアム・バード&ジャパン

  • アーティスト:中村 恵美
  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: CD
 
日没前、散歩。風強けれど、既に暑し。