『安原顯の乱聴日記』

日曜日。昧爽起床。
昨晩は鈴木大拙を読んで寝た。大拙の英文著作は世界中で読まれているし、日本人で大拙の日本語著作を読む人も少なくないように見える。僕は大拙はたいへんにえらい方だと思っているが、どうして大拙は侮られるのか? たぶん、大拙が懇切丁寧、じつに親切だからだ。エラソーなバカでもわかった気になってしまうくらい親切に書かれている、そんな文章が多い。しかし、レヴェルを落としているわけではないから、結局のところはじつはやさしいものではない。本当のところはわかる人にしかわからない。じゃあ、わたしは大拙がわかる特権的な人間なのか? いや、全然。わたしは未熟者だ。一生修行と思っている。わたしは禅の人ではないが、結句禅はわたしも含め、大多数に誤解されることは避けられないと思う。

晴。
NML で音楽を聴く。■バッハのフーガ ト短調 BWV1000 で、ギターはバルバラ・ポラシェク(NMLMP3 DL)。ヴァイオリンで弾くのと感じがだいぶちがうな。■バッハのフランス組曲第三番 BWV814 で、ピアノはアレクサンドラ・パパステファノウ(NMLCD)。■モーツァルトクラリネット五重奏曲 K.581 で、クラリネットはアンソニー・ペイ、エンシェント室内アンサンブル(NMLCD)。


音楽之友社の今年の「レコード・アカデミー賞」が出たことをたまたま知った。NML に入っているディスクも一部あるようで、特に交響曲部門のネルソンス指揮、ウィーン・フィルの「ベートーヴェン交響曲全集」が NML で聴けるらしい。ので、聴いてみたが、NML 新着のときにも試聴しているのだけれど、やはりわたしには合わなかった。しかし一般にウケるのは充分わかるから、皆さんはわたしの間違いぶりを検証してやって下さい。
ml.naxos.jp
ベートーヴェン弦楽四重奏曲第八番 op.59-2 で、演奏はミロ・クァルテット(NMLCD)。■ハイドンのピアノ・ソナタ第四十八番 Hob.XVI:35 で、ピアノはジョン・オコーナーNMLMP3 DL)。

昼からまた扶桑町イオンモールへ行ってみる。先日、平日に訪れたらさみしいほどガラガラだったので、日曜日はどうかと思ったのだが、さすがに駐車場もいっぱいなくらいだった。ミスドも盛況で、たくさんの人がレジに並んでいたため、気が大きくなって(?)高カロリーのバナナマフィンを注文してしまう。で、隅っこの席で『安原顯の乱聴日記』読了。図書館から借りてきたものである。各方面を罵倒しまくりだが、爽快感があった。何でも Wikipedia によると、坪内祐三氏はヤスケンに筆誅を加えているそうだ。まあ、ヤスケンは世間では許されないことをいろいろとやったらしいが、それは本書でもよくわかる。自分がクズだと思った人物には、倫理感がなくなるようで、困った人といえばそうだ。つーか、いまならこういう人は生きていけないだろうね。本書は喜怒哀楽の激しい本で、それは彼の個性そのままという感じがする。よく知らないが。罵倒も目立つが、好きなものに対する愛情も大きく深かったといえるだろう。

安原顕の乱聴日記

安原顕の乱聴日記

アマゾンで見る限り、ヤスケンの本はいまでも生きているものはほとんどなく、古書価もおしなべて極安いようだ。いまでは忘れられた人ということか。

帰りにカルコスに寄る。文庫本一冊購入のみ。