こともなし

晴。
幸福な夢を見ていた。せめて夢だけでも幸福だといい。

メジロが番いでチクチクチクチク鳴いている。柿の木にいる。

NML で音楽を聴く。■モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲 K.299 で、フルートはジャン=ピエール・ランパル、ハープはリリー・ラスキーヌ、指揮はジャン=フランソワ・パイヤール、パイヤール室内管弦楽団NMLCD)。すばらしい。■メンデルスゾーンピアノ三重奏曲第二番 op.66 で、演奏はボザール・トリオ(NML)。「メントリ」っていわれる(らしい)第一番ほど有名ではないかも知れないが、これもいい曲だよね。メンデルスゾーン室内楽はどれも好きだ。

 
日没前、ドラッグストアまで散歩。
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だいぶダメになったのだが、それだけだとただのダメなおっさんなので、どうにか脱出したいところ。

その状況でどうしたら適切に脱出できるかわかればよいのだが、ここまで生きてきてもなかなかむずかしくて適切な対応をつい忘れてしまう。

文庫版『成城だより II』を読む。おもしろくてつい読み続けてしまう。さて、どうでもよいことだが、本書中に大岡さんが「マイナスとマイナスを掛けるとどうしてプラスになるか知っているか」といって来訪者を煙(けむ)に巻く(というかいじめる)話があるけれども(p.32)、考えてみるとこれは意外とむずかしい。もちろんそれが定義だからといってしまえばおしまいだが、どうしてそう定義するとうまくいくのかはやはり説明が要るだろう。じつは大岡さんもわからないのであるが、いま風呂でつらつら頭を捻ってみると、「マイナス」っていうのは加法の逆元の表現なわけだな。しかし「マイナスとマイナスを掛ける」というのはもちろん乗法の話である。つまり、加法と乗法の組み合わさっている「体論」(あるいは環論)で考えないといけないことになる。そこで、自分が体論に関してあやふやなことに気づいた。文系の大岡さんを笑っていられない。

ぐぐってみるとネットにはいろいろな説明があるが、気づいた中で正確な説明はこれ。
hooktail.sub.jpなるほどという感じ。群論と体論(という言葉は使っていないが)の本質的な議論を踏まえた説明である。
 
夕食後も『成城だより II』を読み継ぐ。つい数学の記事が目についてしまうが、家庭教師をつけて非常にむずかしいことを勉強しておられるので驚いてしまう。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった柄谷行人の数学がハッタリだと見抜いてしまっているのが七〇過ぎのじいさんだとは信じがたい。もっとも、大岡さんは柄谷を評価していないわけではないので、懐の深いことである。それにしても、いまの朝日新聞の書評欄を見ているとその柄谷行人の知的緊張感が既に失われてしまっているのを思えば、大岡さんの頭の若さを思わざるを得ない。文学でも、ドキッとする記述が至るところにある。筒井康隆の『大いなる助走』の文庫解説を書くなど、いったいどうなっているのか。誰が書いていたか忘れたが、この日記が現代の奇書であるというのは、もっともなことである。

個人的なことだが、この『成城だより II』は明らかに既読だ。単行本はもっていない筈だが、いつどこで読んだのだろうな。

■ニコライ・ミャスコフスキー(1881-1950)の交響曲第五番 op.18 で、指揮はエフゲニー・スヴェトラーノフロシア連邦国立交響楽団NML)。片山杜秀さんのお好きな「ミャス5」。まあ、確かにおもしろくないことはない。未知の領域。

Myaskovsky:Complete Syms Vol.5

Myaskovsky:Complete Syms Vol.5

■バッハのパルティータ第三番 BWV827 で、チェンバロは辰巳美納子(NML)。
バッハ:パルティータ(全曲)

バッハ:パルティータ(全曲)

  • アーティスト:辰巳美納子
  • 出版社/メーカー: ALM RECORDS
  • 発売日: 2016/08/07
  • メディア: CD