片山杜秀『音楽放浪記 世界之巻』

曇。
昨晩は岡潔を読んで寝た。感銘を受けた。「情緒」という言葉を独特に使っておられる。わたしには岡潔というと何といっても小林秀雄との対談なわけだが、『春宵十話』以降たくさんエッセイをお書きになったのだな。学生のとき古本屋で『春宵十話』を見つけてうれしかった記憶がある。

NML で音楽を聴く。■内藤明美の「Through Life and Death, A Chainless Soul」で、メゾ・ソプラノはジェシカ・ボワーズ、ピアノはマリリン・ノンケン(NMLMP3 DL)。自分の能力不足で英語が聴き取れないのが残念だが、よい曲だ。伝統的な保守的な音楽語法だが、不思議な新鮮さがある。感動的といってよい。

夕方、ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。もっちりフルーツスティック シナモン+ブレンドコーヒー418円。片山杜秀さんの文庫版『音楽放浪記 世界之巻』を読む。原本はもっていて既に読了済であるが、図書館にあったので借りてきた。中身はどうせよく覚えていないので。しかし、片山さんを読むといつもわたしは笑ってしまう。リズミックできわめて理屈っぽい文体が可笑しい。なんで著者はこんなに理屈っぽいのかと思わせるくらい、徹底的な楽曲分析と湧き出るメタファーとわけのわからない怒涛の博識的アナロジーで読ませる。そして著者は、わたしのごとき保守的な感性のクソマジメなクラヲタを嘲笑して已まず、確かにそれでよいとわたしも思うのだ。まあ、嘲笑されるわたしはあんまり見良い図ではないが、保守的でクソマジメなんてものは現在において笑殺し去るのが正しい態度なのである。

図書館から借りてきた、片山杜秀『音楽放浪記 世界之巻』読了。やっぱりおもしろいなあ。わたしのクズぶりがよくわかる。巻末の音盤ガイドも決して読み飛ばしてはいけない。しかし、高尚すぎてわたしごときには何もわからぬ文庫解説の三浦雅士は何とかならぬものか。

■アイヴズのオーケストラ・セット第一番「ニュー・イングランドの3つの場所」、交響曲ニューイングランドの祝日」(祭日交響曲)で、指揮はデイヴィッド・ジンマンボルティモア交響楽団NML)。

4448602

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■内藤明美の「砂の女」で、打楽器はグレッグ・バイヤー(NMLMP3 DL)。よい曲。内藤明美さんの曲はもう少し聴いてみたい。■内藤明美の「木の記憶」で、マリンバはウィリアム・ムーシュ(NML)。内藤さんの曲には現代にはめずらしく独特の深みがある。
Music of Akemi Naito

Music of Akemi Naito

検索すると、内藤明美というのは同姓同名の声楽家がいて紛らわしい。この作曲家の方は、これも現代音楽の作曲家である八村義夫(故人)の妻だそうである。わたしは八村義夫という人はよく知らないが。なお、いま聴いた「木の記憶」というのは NML での表記で、「森の記憶」というのがふつうらしい。原題はたぶん英語で、それは「Memory of the Woods」なので、「森」の方が適切なようである。NML ではたぶんよく知らない人がテキトーに訳したのだろう。