『小澤征爾 指揮者を語る 音楽と表現』

晴。

NML で音楽を聴く。■バッハのフランス組曲第二番 BWV813 で、ピアノはシェン・ユエン(NMLMP3 DL)。■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第一番 op.2-1 で、ピアノはスティーヴン・コヴァセヴィチ(NMLCD)。

涼しくなった。イオンモールJTB へ。

昼から図書館。ぼーっとしながらウロウロ歩き回ってきた。あまり「土地鑑」のないジャンルの棚も何となく見てみる。比較的軽めの本を何冊か借りた。

ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。ポン・デ・シュガーボール+エンゼルクリームボール+ブレンドコーヒー344円。ジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』を読み始める。まだ少ししか読んでいないが、おもしろい。わたしはアメリカ文化に疎いが、何といってもアメリカは学問だなと思う。日本の「戦後」を扱った書物は汗牛充棟の有り様であるが、この本は日本人の盲点を突いている感じがする。新鮮な記述が至るところにある。まだこの本の価値についてはよくわからないが、とにかく興味深い。戦後の日本人はなぜ「平和と民主主義」にあれほど熱狂したのか? それはそんなに自明のことではないのだ。そしてわたしの密かな問題意識として、現在の我々は何を得、何を失ってしまったのか、そのことに対するヒントが本書から得られるのではないかと期待しているところがある。よく考えてみると、戦後直後の日本人をわたしはいまだによく知らないのだ。

カルコスに寄る。いつもどおり、ちくま学芸文庫と古典新訳文庫の新刊。それにしても、現在出ている本の何と多いことか。ウロウロ歩き回っていて、ここにある殆どの著者の本を読んだことがないなと思う。わたしは本屋に行かなくなったし、自分にとって新しい著者の本を買わなくなった。ふつうに言って精神の硬直化であろう。


ジョン・ダワーによると、敗戦で日本はその国富の四分の一を失った。そこには、全船舶の五分の四、全産業用工作機械の三分の一、全鉄道用車両及び全自動車の四分の一が含まれる。六六の主要都市が大規模な空襲に見舞われ、その全市街地の四〇%、全家屋の六五%が破壊された。戦争によって少なくとも二七〇万人の日本人の命が失われ、これは全人口の三〜四%に当たる。マッカーサーによれば、敗戦で日本は「四等国になった」。我々がここから(一時期は)世界第二の経済力をもつまで復興し得たのは、わたしには謎に思われる。そして現在における我々の状況も、かなりの謎である、わたしにとっては。もちろんそれらには様々な回答が既に与えられているのであるが、わたしの無知ゆえか心底納得する説明をわたしは聞いた覚えがない。個人的な話であるが。

図書館から借りてきた、『小澤征爾 指揮者を語る 音楽と表現』読了。「100年インタビュー」というテレビ番組の書籍版。「100年」というのは大袈裟でわりと軽いインタヴュー集であるが、インタヴュアーの有働さんが音楽について無知なので、却っておもしろいインタヴューになっている。マエストロはじつにわかりやすく、真摯に受け答えしているな。さてもわたしの印象では日本のクラシック・ファンは小澤征爾を低く評価する傾向にあって、いまではむしろ外国人の方にリスペクトされている感じだ。何でなのだろうね。まあそれはよいので、答えることが不可能な有働さんの素人らしい質問に対して、じつに深い答えを返しておられる。例えば、「指揮の勉強とは、具体的に何をどんなふうにするんですか?」とか、答えられる筈がないでしょう!とかこちらは思うのだけれど、マエストロは一生懸命説明して、結果としておもしろい答えが返ってきているのですよ。是非お読み下さい。