豊田市美術館で「クリムト展」 / アニメ「君の名は。」を観る

晴。
 
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豊田市美術館でやっている「クリムト展」へ家族で行ってきました。豊田市まで車で高速を使って一時間半弱くらいかな。渋滞に遭うこともなく、ぴたりと10時の開館直前に着いたのですが、既に駐車場は八割がた埋まっているという盛況ぶりで、チケット購入にいちばん時間がかかりました。いまは皆んな意識高い系(?)で、せっせと美術展に行くのな。わたしもそうだが、中部地方はコンサートとか美術展とか、あんまりないですし、待ち構えているというわけか。
 中身についてはあまり書きませんが、かなり本格的なクリムト展でしたね。クリムトというとわたしがすぐに連想するのはマーラーの CD ジャケットによく使われていることで、マーラークリムトも同じ世紀末ウィーンの空気を吸っていますから、当然といえば当然ですね。実際、のちにマーラーの妻となったアルマ(有名な女性ですね)と性的な関係があったとも言われていますし。無意識の侵入を思わせるクリムトの「冥い」絵を見ていると、フロイトの学説を生んだのも世紀末ウィーンだったことを思い出したりもします。ちなみにクリムトとは関係ないですが、マーラーフロイトの診察を受けています。
 クリムトの絵は性的なものというか、端的にいってエロいものが多く、それも明るいエロティシズムではなくて、既に書きましたが無意識的な「冥い」絵です。健康的とはいいがたい絵というか。さらに晩年は、死を強く意識した作品が多くなり、わたしはこれは知りませんでした。いわゆる「ベートーヴェン・フリーズ」が複製ですがあって、これは収穫でしたが、ベートーヴェンの音楽性とはまったく異なる(不健康な)印象で、クリムトが何を考えていたかわたしにはよくわかりません。いわゆる「黄金の騎士」の作品も見られましたが、これもポジティブばかりといえるのかと思いました。蛇の出てくる絵が多く、表わしているものは明らかです。ただこの豪奢なエロス、不健康さがクリムトの「売り」で、ふつうに好ましい、穏やかな作品も少なくないのですが、印象がどうしても薄くなっています。とにかく、女性の特に性的な側面を中心に描いた画家だということを痛感しました。
 ただ、クリムトが時代から突出していたわけではなく、今回の展覧会には同時代の他の画家の作品もかなり展示されていて、クリムトと同じような傾向であることを確認しました。名前を隠されればクリムトかと思ってしまうようなものもあります。クリムトは同時代的先端であったわけです。ポスターなどは無名的デザイン的で、性的でもなく安心して見ることができました。こういうのなら、部屋に飾っておけないこともないなと思いました。
 なお、今回の展覧会は高校生以下は無料だったのがちょっと驚きでした。かなり大人向けの展覧会なのですが、まあこういうのを見る高校生というのもいていい気がしますね。平日の午前中だから、会場ではもちろん見かけませんでしたが。
 いまふと思ったのですが、クリムトの豪奢なエロスの世界はちょっとマゾッホを思わせないでしょうか。時代的にはマゾッホの方がだいぶ前ですが。

昼食は豊田の蕎麦処「なつ井」で。桜えびのかき揚げ付ざる蕎麦を食べましたが、とても美味しかったです。両親に勧められてわたしはさらに「追ざる」をいただきました。


しかしあとで思うが、クリムトについては観念的なことが書きやすい、そういう画家だと思う。上に書いたようなことは実際に展覧会を見なくても書けるような気もする。正直言って、それほど感銘を受けたとはいえないかも知れない。あとにいちばん残ったのはその「不健康さ」の印象だったようである。

録画しておいた「君の名は。」を観る。先日放送されたのではなくて、去年地上波で放送されたもの。
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最後、「秒速5センチメートル」みたいになるのではないかと懸念しながら(笑)見ていたが、ハッピーエンドでホッとした。確かに大ヒットしただけあって、よく出来ていました(荒唐無稽だけれどね)。岐阜弁はアクセントが不自然だった気がするけど、それはまあどうでもいい。ひさしぶりにアニメを見たので、最初の方ははずかしすぎて相当我慢した。主役の男の子も女の子もかわいかったけれど、いまの子供たちってこんな感じなの? ともかくハッピーエンドでよかったよかった。

しかし独身のおっさんがこんなもの見てどうするのだという…。

NML で音楽を聴く。■モーツァルトのピアノ・ソナタ第十四番 K.457 で、ピアノはフリードリヒ・グルダNMLMP3 DL)。何だか聴きたい passage があってモーツァルトのピアノ・ソナタのどこかということはわかっていたのだが、たまたまこれを聴いたらドンピシャ K.457 の第二楽章だった。グルダの演奏はあたかもベートーヴェン的でこの曲にぴったりの演奏。僕はグルダのジャズは知らないが、グルダはやはりモーツァルトベートーヴェンだろうと思う。■アントニオ・ソレールソナタ第十八番、第四十八番、第二十四番、第二十七番で、ピアノはダヴィデ・カバッシ(NMLCD)。■スクリャービンのカノン ニ長調ノクターン変イ長調、「アルバムの綴り」 op.58、四つの小品 op.56 ~ No.3、三つの小品 op.2、二つの小品 op.57 ~ No.1 で、ピアノはアンナ・ゴラーリ(NMLMP3 DL)。