こともなし

晴。
印象的な夢を見る。Ruby 関連とか。

NML で音楽を聴く。■バッハの「フーガの技法」 BWV1080 ~ Contrapunctus XIIIa a 3 rectus, XIIIb a 3 inversus, XIV: Canon per Augmentationem in contrario motu, XIV: Fuga a 3 Soggetti, Chorale: Wenn wir in hochsten Noten sein で、演奏はエマーソン弦楽四重奏団NMLCD)。■シベリウス交響曲第六番 op.104 で、指揮はヘルベルト・フォン・カラヤンフィルハーモニア管弦楽団NML)。すばらしい。

シマノフスキの「仮面劇」 op.34 で、ピアノはアンドレア・ヴィヴァネート(NMLCD)。
 
午前中、甥っ子の勉強を見る。

珈琲工房ひぐち北一色店にて昼食。県図書館。

クリストファー・R・ブラウニング『普通の人びと』を読む。初版最終章まで読み終えた。最終章(第十八章)はどうしてふつうの人たちが残虐行為に慣れてしまったかの総括であり、よくまとまっている。自分にとって印象的な部分をメモしておく。一。戦争と人種差別の関係。これはもちろんナチ・ドイツの専売特許ではない。これにはジョン・ダワーの書物があるという。県図書館に架蔵。一。アドルノらによる「権威主義的パーソナリティ」。しかしこれは本書では否定的であるし、ジグムント・バウマンはきびしく批判しているようである。ちなみにわたしもこれには否定的であり、余計なことを付加しておけばアドルノはきわめて優秀な頭脳をもっていたが、わたしごときの思うところでは人間のことはアドルノはよく知らなかった(さらには音楽についても)。一。命令。これはもちろん大きな要因であったろうが、じつに興味深いことに、武器を持たない文民を殺せという命令に対する拒否で、苛酷な軍事罰を受けなければなかったというケースは、その存在が一例たりとも証明されたことがないらしい*1。これは少なからぬ驚きであるが、本書を読むとわかる気もする。また、「命令への服従」に関しては、スタンレー・ミルグラムの有名な研究があり、わたしはこれは読んでいた(参照)。ミルグラムの結論は本書のケースに非常によく当て嵌まる。一。集団への順応。これは大きい。殺戮に参加しない隊員は、他人に余計な「汚れ仕事」を引き受けさせることになる。さらには集団から孤立してしまう。そのような資質は「弱さ」と判定されることになり、逆にいえば殺戮に積極的に参加する者が「強者」と見做されることになる。

増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1))

増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1))

 

biz-journal.jp「あいちトリエンナーレ」での今回の騒動についてはここで一切書くつもりはなかったのだが、リンク先記事を見て思うところがあったので少しだけ書く。とりあえず、SNS での日本人の爆発的反応は総体としてわたしには気持ちが悪すぎたし、「表現の自由」を河村名古屋市長が軽視した(というか踏みにじった)のはあまりにもひどいとは思っていたが、江川氏の記事を読んで、津田氏が企画展を中止したのはいわゆる「電凸」のひどさが理由だったのを知った。これは、わたしが SNS に感じた気持ち悪さ(「ツイッター凸」?)とまったく同根のものである。わたしは自分を棚に上げるわけではないが、日本人の恐ろしいまでの〇〇っぷりで、意気消沈せざるを得ない。しかし、これは近年、明らかに頻繁に見られるようになった現象である。これを、江川氏は暴力と呼ぶことをためらっておられるが、事実上は「ふつうの人たちによる集団的暴力」である。そしてたぶん、「ふつうの人たち」の少なからずはそれが「暴力」であることを知っていてやっているだろう。結局これには、(コールセンターの設置など)対症療法しかなく、根本的な解決は非常にむずかしい気がする。というか、わたしは嫌気が差している。何で日本人はこんなことになってしまったのか。
 それから、例の「ガソリン」云々の「テロ予告」だが、まあこれは確かに「テロ予告」ではあり警察の捜査の対象であるのは間違いないけれども、たぶん悪ふざけであり、まさか逮捕されるレヴェルであるとは当人は予想していなかった類の「テロ予告」だと思う。だとしたら幼稚すぎるとしか言い様がない。

正直言って、我々はいまや「知らない人をやり込める」ことに快感を見出しすぎ(それは庶民、有名人、学者すべて同様である)、そのための道具も簡単に揃ってしまっている。わたしもついそうしかねない。以て他山の石としたい。

*1:おそらくは、ナチ・ドイツに対する戦争犯罪裁判において、ということであろうが。