中沢新一『増補改訂 アースダイバー』

晴。
蝉時雨がぐわーんという感じ。地上ではたった一週間しか生きていられないのだから、燃焼力がすごい。

午前中、甥っ子の勉強を見る。

昨晩、中沢さんの『増補改訂 アースダイバー』を読み終えた。あー、常備薬をついに読み切ってしまった。半年くらいかけて読んだことになるな。最初の『アースダイバー』はちょっとエッチな雑誌に軽い思いつきという感じで連載されたものだが、おそらく中沢さん自身も予想外だったであろう広がりをもったな。『アースダイバー』とは何かという問いはいまだにオープンで答えられるものではないが、考古学、歴史学民俗学の成果に、歴史的・人類学的想像力(ここが中沢さんの強みである)を加味した人文地理学的試みとでもまとめてみるか。しかし、これはあまりよいまとめとはいえないのは明白だろう。中沢さんのごとき「想像力」をもつ存在はわたしの知る限り現在他にひとりもおらず、かけがえのない存在になってしまっているが、我々はこの千分の一でも身につけてさらなる先を進められないものかと思う。それくらい、魅力的で重要な仕事ではあるまいか。土地の霊を地形と歴史の中でよみがえらせてやること。深い歴史的想像力を土地にもつこと。

増補改訂 アースダイバー

増補改訂 アースダイバー

大阪アースダイバー

大阪アースダイバー

アースダイバー 東京の聖地

アースダイバー 東京の聖地

中沢さんのやっていることは達人による信憑性のある「空想」にすぎないといえばそうなのであるが、重要なのはその「空想」によってその空間における我々の生き方が変ってしまうということである。日本の土地はいまや田舎でもパッチワーク状に壊れ、死につつあるのであり、それは我々の「空想」がなければ息を吹き返すことはないのだ。


甥っ子を駅まで送ってから、米屋と肉屋、スーパー。

蝉時雨を聞きながら浴槽につかっていたら茹で上がってしまった。馬鹿者である。

鈴木大拙を読む。選集をすべて読むつもりだが、じつのところはこの一冊だけ何度も繰り返して読んでもよいのである。というか、そうあるべきなのか。何となく完読したくなるのは老書生の悪癖というべきかも知れない。

NML で音楽を聴く。■モーツァルトのピアノ協奏曲第十二番 K.414 で、ピアノはエヴァ・オシンスカ、指揮はイェジー・マクシミウク、ポーランド室内管弦楽団NML)。ここで聴いたオシンスカのモーツァルトだが、これもなかなかよい。伴奏もピアノとよくマッチしている。全集になるのだろうか、期待したい。

Mozart: Koncerty fortepianowe

Mozart: Koncerty fortepianowe

なお、オシンスカについて検索してみたところ、ひどいことが書かれたものがいくつかヒットした。それ以外にはほぼなし。真偽はともかく、胸が悪くなってくる。■シベリウス交響曲第二番 op.43 で、指揮はコリン・デイヴィスボストン交響楽団NMLCD)。■シマノフスキの「十二つの練習曲」 op.33 で、ピアノはアンドレア・ヴィヴァネート(NMLCD)。