深沢七郎未発表作品集『生きているのはひまつぶし』 / 伊藤比呂美『新訳 説経節』

曇。

NML で音楽を聴く。■バッハのパルティータ第五番 BWV829 で、ピアノはシェン・ユエン(NMLCD)。■ブラームススケルツォ 変ホ短調 op.4 で、ピアノはジャン・マルタンNMLCD)。初めて聴く曲。


昼から県営プール。夏期半額。
 
参院選にあたって - 内田樹の研究室
しかし内田樹の妄想すごいな。こういうダメなジジイどもと我々が日本を壊してきた気がする。若い人たち、ごめんなさい。自分はまったく無力でした。

調子がいまひとつ。心がきたない。


ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。フレンチクルーラーブレンドコーヒー378円。図書館から借りてきた、深沢七郎未発表作品集『生きているのはひまつぶし』読了。わはは、おかしな本だな。このところどうも怏々として楽しまなかったので、深沢さんの下らない本で笑えてよかった。しかし、深沢さんはセックスが大好きすぎるな。正常位はムリがあるんで、後背位がホントで、だから昔は男性のことを「背の君」といったとか、マジかよ(ウソくせー笑)。ギターを抱えてびしっと決めている写真とか、深沢さんむっちゃハンサムなんで、で話はおもしろいし、こりゃモテるはずですね。生きているのはひまつぶし、ぼーっと生きてるというのはわたしもそうありたくて、最近は結構実践しているつもりだが、まあわたしは寝ているだけなんで、今川焼屋をやったりしている深沢さん(今川焼を食いすぎて 20kg くらい太ったらしい。商品を自分で食うとか何それ笑)には到底かなわないが。それにしても、こんな本、よく図書館にあったな。おもしろすぎて一気に読んでしまいました。

生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集

生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集

図書館から借りてきた、伊藤比呂美『新訳 説経節』読了。うーん、こいつはすごい。さすがにわたしの大好きな野蛮人・伊藤比呂美さんである。ここで現代語訳されたのは小栗判官、しんとく丸、山椒大夫の三篇。山椒大夫は鷗外先生の訳で知っていたが、あとのは題名しか知らなかった。何ともなまなましいのである。わたしが人生というものを知らないのと反対に、伊藤比呂美さんは人生、生きているということそのもので、いま日本の文筆家で「生きている」人というものをわたしは極少数しか知らない、それがわたしにとっての伊藤比呂美さんである。伊藤さんは女くささのぷんぷんした苦労人であるが、それにしてもこの「説経節」のヒロインたちは、皆んな可憐な乙女だったのに、あらまあいい男に出会って(ではない場合もあるが)散々苦労する。山椒大夫の安寿なんかは、ちょっとなされ方が残酷すぎるくらい。わたしは何度もいうが人生というものを知らないけれど、いい男ってのはそんなに苦労しがいのあるものなのですなあ(小栗判官、しんとく丸)。もちろん話のどぎつさなどは現代の小説や映画にもっとひどいものがいくらでもあろうが、わたしはそういうものをよく知らないし、まあ知ろうとも思わなくて、ただ現代に見事によみがえった説経節にいささか感動しているのである。たぶん、いま日本の古典を現代に生きてよみがえらせることの可能な文筆家は、この伊藤比呂美さんと、町田康さんで、他には誰がいるだろう。あとは、説経節に惚れ抜いてきた伊藤さんの、伊藤作現代版説経節の系列の著作も読んでみようと思っている。

新訳 説経節

新訳 説経節