こともなし

晴。

NML で音楽を聴く。■バッハの「フーガの技法」 BWV1080 ~ Canon alla Ottava, Canon III, alla Decima in Contrapunto alla Terza, Canon IV, alla Duodecima in Contrapunto alla Quinta で、ピアノはコチシュ・ゾルターンNMLCD)。

モーツァルトのヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョ ホ長調 K.261、ロンド 変ロ長調 K.269、ロンド ハ長調 K.373 で、ヴァイオリンはヘンリク・シェリング、指揮はアレクサンダー・ギブソン、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団NMLCD)。■ベートーヴェンのピアノ協奏曲第五番 op.73 で、ピアノはクリフォード・カーゾン、指揮はジョージ・セルウィーン・フィルハーモニー管弦楽団NMLCD)。いやあ、すばらしくおもしろかった! セル、何よりもセルですよ。どうもわたしはセルみたいなのがもっとも好きなタイプの指揮者なのではないかという疑惑が浮上している。何という華やかで力強いベートーヴェンカーゾンも頑張っているが、というかカーゾンはたいへんな実力者でわたしは決してきらいでないが、この爽快なまでに華やかな曲にはちょっと地味な感じが否めない。まあ、とにかくセルですね、カーゾンには悪いけれど。1968年のライブ録音。ウィーン・フィルというのがセルにはめずらしい感じである。
 

いい天気で風もないので、またイオンモールまで歩く。今日は最短ルートに近い道を歩いたので、45分くらいだった。
ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。ブレンドコーヒー270円。音楽に関する山口昌男の対談集『オペラの世紀』というのを読む。おもしろいおもしろい、一気に 200ページくらい読んでしまった。若い人には山口昌男って、解説しないといけないのかな。でもしない。僕は文庫本だけでも 20冊くらいはもっていると思う。ただ、山口昌男トリックスターぶりを発揮して茶化したりバカにしたりしているのが、わたしのようなクソマジメでセンスのない田舎者だということはひしひしと感じるので、わたしとしてはみっともないことになるのであるが。まあしかし、それは山口昌男が正しい。けれども、いまやクソマジメもトリックスターもまとめてゴミ箱にぶち込んでしまった時代なので、山口昌男ほどの人でも既に忘れかけられているのかも知れないなと思う。
 本書は既に書いたとおり音楽についての対談集で、山口昌男が言っていることはいつもと同じだ。クソマジメはやめて、軽くていかがわしい、周縁的な、真に知的なものを復権させようというものである。ベートーヴェンよりモーツァルトを、メシアンよりもサティを! ここでもさすがに博識なのが山口昌男だ。しかしちょっとだけ思うが、山口昌男は本当に音楽が好きなのだろうか。たんに知的な対象、「知のたわむれ」のネタにすぎないのではないか、そんな風にも思えてしまうのだが、まあそういうことはあまり言わないほうがいいか。一時期は山口昌男って、ホントに危険で輝いてみえた知識人だった。北海道出身の知識人には、ああいうどこか垢抜けたセンスをもつ人が少なくないような印象があるのだけれど。

花粉が飛んで目がかゆい。鼻水が出る。

山口昌男の続きを読む。まったく驚くべき知識の広がり。それに、自分をプレゼンテーションするのが非常にうまい。それで、相手を喜ばせてしまう。それにしても、ケージとの対談では山口昌男もかたなしという感じで、じつに不思議である。ケージはほんわりと好きにしゃべっているのだが、山口昌男は全然自分らしい才気が出せない。博識で切りつけても切りつけても、ケージは何ともないのだ。で、こちらもそのうち、山口ではなくケージのしゃべっていることに思わず笑わされてしまう。やはりケージって人はただものでないな。