ジョン・チーヴァー『巨大なラジオ/泳ぐ人』

晴。
ようやく十時前に起きる。昨日寝すぎたせいで、昨晩はなかなか寝付けなかった。寝る前に井筒先生を読んでいたせいもあるかも知れないが…。英文著作翻訳コレクションの『存在の概念と実在性』というやつである。井筒先生はわたしのような「中二病」者にウケるそうだが、確かにわたしに根本的に合っているというのはそうだ。いまや、「神秘主義者」というのは「最悪の」呼称であり、神秘主義者と認定された者はもはや共にまともに議論できる存在ではないと見做されてしまう。自動的にアンタッチャブル扱いされてしまうわけだ。わたしはじつにその神秘主義者でもあるわけで、神秘主義というのはつまり我々のふつうの(?)存在と認識そのものが神秘に他ならないという事実を指す。ただし、ふつうの(?)人がその神秘に気づかないのは、我々の存在と認識そのものを見ないからである。敢ていえばそれだけのことともいえるわけだ。さて、井筒先生は神秘主義者か? もちろんそうではあるが、むしろ哲学者とでもいうべきであろう。正確な意味で「哲学者」と呼べるのは、神秘主義者でもある者のみであるとするならば。
 昨晩一気に読み切ろうと思ったのだが、「サブザワーリー形而上学の根本構造」が難物で中断した。これはそれ以前の整然とした三篇の論文に比べてかなり晦渋で、おそらく井筒先生が若い頃に書かれたのだと思う。後年では比較哲学的に明快に整理されている記述がまだイスラームに限定されていて、イスラーム哲学の煩瑣な専門用語が頻出し、読むのはかなり大変だ。しかし、こちらの方が仕事場がさらけ出されていて、却って参考になるところもある。例えば「存在」と「何性」と、どちらがより根源的(アスィール)か、という問題。井筒先生はそれぞれ前者、後者を根源的とする議論を簡潔にえぐり出して解説しておられるが、ただそれだけに留まっておられないのは明白である。井筒先生ははっきりと立場表明されているのであり、それは「存在」がより根源的であるという、ムッラー・サドラー、サブザワーリーの立場こそ「真理」であるというものだ。これは非常に勉強になった。それに関しては、自分でしっかりとわかったと思う。
 しかし、「存在」であろうが「何性」であろうが、どちらが根源的であろうとどうでもよいではないかと言われるかも知れない。そう、わたしも一応そうであるとは思う。どうでもよいといえばどうでもよいのだ。まあ、我々のようなものをそっとしておいてほしいと思う。

なお、「存在」と「何性」というのがちょっとわかりにくいかも知れないが、これは井筒先生の仰るとおり、ラテン語(あるいは西洋哲学)における「エクシステンティア」と「エッセンティア」に対応する。そういえば明白であろう。

しかし、つい「しっかりとわかった」と書いてしまったが、では自分の言葉で説明して下さいといわれると無理だな。じゃあ、やはりわかっていないのか? ま、そんなことはどうでもいいのだ、たぶん。見てわかったものを言葉で説明するむずかしさって、ありますよね。それみたいなものかな。けれども、神秘家たることと論理の厳密性を共に追求したイスラームの大哲学者たちが聞いたら、ぶんなぐられそうだが。たんなる小僧であるな、わたしは。


いい天気なので、イオンモールまで散歩。またカワセミ。それもちがう場所で、二回も見た。よほどいるようだな。
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今日はわりと近い道を歩いたので、イオンモールまで 50分くらいだった。薄いカーディガンでも少し暑いくらいの陽気。まだ二月なのに、完全に春である。

ミスタードーナツ イオンモール各務原店。ブレンドコーヒー270円。図書館から借りてきた、ジョン・チーヴァー『巨大なラジオ/泳ぐ人』読了。村上春樹訳。

巨大なラジオ / 泳ぐ人

巨大なラジオ / 泳ぐ人

読み終えたらちょうどバスの時間。平日は一時間に一本、自宅近くで降りられるバスがあるので、歩いた帰りはいつもそれを使っている。イオンモールからウチの近くのバス停まで10分もかからないくらい。

しかし、フードコートで下を向いて一時間以上スマホをいじっている人が(誇張でなく)たくさんいるのだが、何なのこれという感じ。ちなみにはわたしはスマホどころかガラケーすらもっていない老害である(いまだに現金を使っている老害とか)。何でそれで老害なのかいまひとつわからないところもあるが、まあいまの感覚だとそんなものなのだろう。ですな。


ブーレーズ/ケージ往復書簡』を読み始めたのだが、ちょっとブーレーズうっとおしすぎる。オレと同じ考えをもっていない奴は音楽を聴くなといいかねない感じ。僕はある意味では何も考えずに音楽を聴いているのだが、そういう聴き方をしても、ブーレーズの音楽自体は魅力がないどころではないのだけれど。なのに、こんな人間だったとは…。まあ、話には聞いていたが。

ちょっと文章がつんつん刺々しくなっているのであるな。何かするか。