休日(勤労感謝の日)。昧爽起床。
NML で音楽を聴く。■バッハのオルガン小曲集 BWV614-618 で、オルガンは椎名雄一郎(NML、CD)。■ショパンの即興曲第一番 op.29、第二番 op.36、第三番 op.51、幻想即興曲嬰ハ短調 op.66 で、ピアノは園田高弘(NML)。ショパンの即興曲を聴きたいと思って NML で調べてみたら、園田高弘の録音があったので聴いてみた。園田は広いレパートリーをもったピアニストだったな。しかし、これで聴いていると、ポピュラーな「幻想即興曲」だけ贔屓にしているわけにはいかないという気になってくる。第一番もよく弾かれるが、その他だって悪くない曲だ。僕はこれら即興曲はあまり聴かないといえばそうなのだが、ホント悪くない。でも、スタンダードな録音って誰のなのだろうね。やはりルービンシュタインとかなのかな。ポリーニは録音していないしな。それにしても、園田を聴いていると故郷に帰ってきたなというような感じがするよ。
- アーティスト: 園田高弘,ショパン
- 出版社/メーカー: 日本クラウン
- 発売日: 1991/06/21
- メディア: CD
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日産のゴーン会長逮捕のニュースには別にそれほど興味がなかったのだが、ルノーがもともとフランスの国営企業であり、いまでも国が大株主であることから、欧米で様々な報道がなされているのを知ると、おもしろくなってきたなという感じもする。マクロン仏大統領がルノーによる日産の吸収を指示していたともされ、よくは知らないが、フランスではゴーン会長逮捕は日本の陰謀であり、実際は無罪であるとも報道されているようだ。つまらぬことをいえば、ヨーロッパ人にとって日産の吸収は日本(あるいはアジア)に対するルサンチマンを開放する出来事であり、それを阻止されたことで彼らのプライドが傷つけられたとも考えられる。いずれにせよ、ヨーロッパの政財界の多くがいまでも日本人を見下しているのはまぎれもない事実のようで、それがこの事件から透けて見えてくるような気がする。まあ、そんなことはどうでもいいといえばどうでもいいのだが。日本人の少なからずが中国・韓国人(あるいはその他アジア人)を内心見下しているのと同様な話であろう。
晴。
■モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第二十三番 K.306 で、ヴァイオリンはイザベル・ファウスト、フォルテピアノはアレクサンドル・メルニコフ(NML)。これはよい! 最近聴いた音楽の中でもっともフレッシュな演奏だ。そもそもヴァイオリン・ソナタというのは多くの場合ヴァイオリンとピアノは対等でなく、どうしてもピアノが強くなってしまいがちであるが、表現力の乏しいフォルテピアノであるがゆえに、ここでは強く表現してもヴァイオリンとのバランスがちょうどよいということになっている。もともと自分はフォルテピアノの貧弱な音が好きではないのだが、ここでは効果的であることを認めないわけにはいかない。それに、演奏がまたよいので、先ほど書いたようにじつにフレッシュではじけそうだ。よいモーツァルトだと思う。残りを聴くのが楽しみ。
- アーティスト: W.a. Mozart
- 出版社/メーカー: Harmonia Mundi
- 発売日: 2018/11/08
- メディア: CD
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■ハイドンの弦楽四重奏曲第二十五番 Hob.III:32 で、演奏はアキロン・クァルテット(NML)。初めて聴くカルテットだと思うが、なかなか好印象。ハーモニーが美しい。
- アーティスト: Quatuor Akilone
- 出版社/メーカー: Mirare-Ita
- 発売日: 2018/11/16
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昼から県図書館。早めの時間に行ったので、いろいろとゆっくりたっぷり本を選ぶことができた。結局限度の十冊借りる。
図書館の隣のミスドで本を読もうと思っていたのだが、休日なので駐車場が満杯。まあ「ひぐち」へ寄ればいいやということで、珈琲工房ひぐち北一色店へ。いま借りたばかりの『ゲンロン 6』を読む。この雑誌を読むのはひさしぶりである。特集である、「ロシア現代思想 I」というのにざっと目をとおした。最近のわたしは勉強不足なので中身は一行たりとも理解できない…、というとレトリックになってしまうが、まあそんなものにはちがいないわけだけれども、いまの優秀な人たちがどこを向いているかは凡そ見当がついた気がする。東さんは巻頭言で、これまで「特定の小さな文脈に閉じこもって」OK といってきたのに、ここで外部を注入するという矛盾を言い訳しておられるが、気持ちはわからないでもなかった。座談会でも翻訳論文を読んでも思うが、もはや優秀な人たちが手っ取り早くやれることが残っていないのである。思えばポストモダンは「知のたわむれ」とか言ってアホだといまでは切り捨てられる感じだが、しかしそれなりに真剣にたわむれていたところがあって、東さんなどもそういう文脈で出てきた人であった。いまや、皆真剣であるようで、結局はカードをシャッフルして提示する以上のことができず、それをうまくやれるのが優秀ということで、ポストモダンよりもはるかに苦しくなっている。確かに「ロシア現代思想」、興味深くないことはないし、大変に「知的」な議論がおこなわれているが、結局はぼくは頭がよいでしょうごっこ以上のことができない。さても、僕などは頭がよくないのでおー若い人たちかしこいなとは感心するが、当事者たちは大変だな。まあ自業自得なので、頑張って下さいというしかない。さて、残りの部分も目をとおそう。じつは『ゲンロン 7』も借りてきているのだよ、わたしは。
- 作者: 東浩紀,貝澤哉,乗松亨平,畠山宗明,松下隆志,アレクサンドル・ドゥーギン,アルテミー・マグーン,ベルナール・スティグレール,石田英敬,プラープダー・ユン,黒瀬陽平,速水健朗,井出明,高木刑,大森望,福冨渉,辻田真佐憲,安天,海猫沢めろん
- 出版社/メーカー: 株式会社ゲンロン
- 発売日: 2017/09/22
- メディア: 単行本
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とはいえ、こんなこと書いてもしかたがないようにも思える…。意味なし。いまの優秀な人は、自分の頭のよいことが他人にわかればそれで充分なのかも知れない。しらんけど。
そういや図書館で坂本龍一の音楽のアナリーゼと本人へのインタヴューが収録されている大部な本を見つけて興奮して読んでいたのだが、本があまりにもデカすぎて借りられなかった…。しかしまあ、音大の学生でもなければわからない感じで、自分が読んでも読みこなせない気がする。
『ゲンロン 6』にざっと目をとおし終った。基本的にわかったことはひとつ。若い人たちの世界とわたしの存在する世界はまったくちがう。どこかで世界線が離れてしまったようだ。もはやわたしは、若い人たちの世界にとってまったく無意味であり、invisible な存在である。それを強く確信した。そしてわたしの存在する世界は既に消滅しかかっている。それを止めることは不可能である。(PM05:54)
端的にいえば、いつも言っているとおり、ただ自分はどうしようもなく時代遅れになったんだよ(昔からだけど)。簡単にいえばそれだけ。大袈裟にいうほどのことでもない。
ちょっとクラいな。あんまりクラくてもな。
リチャード・E・ルーベンスタインを読む。
■ブラームスの四つのバラード op.10 で、ピアノはファビアン・ミュラー(NML、CD)。特に第四曲がよかった。このピアニストがよいピアニストなのかどうか自分にはわからないが、少なくともこのブラームス・アルバムは悪くないと思っている。