ホーフマンスタール『チャンドス卿の手紙/アンドレアス』

晴。

NML で音楽を聴く。■バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第二番 BWV1004 で、ヴァイオリンはジュリアーノ・カルミニョーラNMLCD)。■ベートーヴェンのピアノ協奏曲第四番 op.58 で、ピアノは園田高弘、指揮は大山平一郎、九州交響楽団NMLCD)。■アルヴォ・ペルトの「アリーナのために」、「わが道は山谷あり(管弦楽版)」、「カノン・ポカヤネン(痛悔のカノン) - 頌歌 VI」、「シルーアンの歌」で、ピアノはアレクサンドル・マルテル、指揮はトヌ・カリュステ、他(NMLCD)。

■ベルナルド・ピサーノ(1490-1548)の「愛の神よ、見るがいい」、「ノーヴァ・アンジェレッタ」、「澄みきった爽やかで穏やかな川の流れよ」、「シ・エ・デビーレ・イル・フィーロ」、「ネ・ラ・スタジョン」、「ケ・デッビオ・ファル?」、ジャック・アルカデルト(1507-1568)の「ソロ・エ・ペンソーソ」、「L'aer gravat'e l'importuna nebbia」、「トゥッティル・ディ・ピアンゴ・エ・ポイ・ラ・ノッテ」、ロジャー・マーシュ(1954-)の「イル・コル・トリスト」で、演奏はヒリヤード・アンサンブルNML)。ルネサンス期(あるいはその直後)の作曲家二人と、現代の作曲家を混ぜた、ECM らしい個性的なアルバムである。選択には一本筋がとおっていて、古の作曲家たちはペトラルカの「カンツォニエーレ」、現代の作曲家はダンテ・アリギエーリの「神曲」からテクストを選んで曲を付けている。語学ができないのが非常に残念。特に古の作曲家たちは魅力的であった。ペトラルカ(14世紀のひとである)には、作詩されてからどれくらいたってどういう経緯で曲がつけられたものであろうか。あとでライナーノーツを読んでみたい。

Il Cor Tristo

Il Cor Tristo

 

好天。昼からひさしぶりに県営プール。多少マジメに泳いだらしんどかった(笑)。定期的に行きたいのだけれど、つい面倒になっていかん。


ホーフマンスタール『チャンドス卿の手紙/アンドレアス』読了。丘沢静也訳。とてもおもしろかった。ホーフマンスタールの文章は翻訳でも意味作用が強烈で、危険を感ずるほどである。そのホーフマンスタールが単語の意味が崩壊してゆく壮絶な体験をし、そこから「チャンドス卿の手紙」という傑作を生み出したというのがすごい。これは古今東西に稀な、魅力的な話というか、小説である。また「手紙」以前に書かれた「バッソンピエール元帥奇譚」(本書では「バソンピエール元帥の体験」という題になっている。たぶんこちらの方が原文に忠実な題なのだろう)は現実にはまずあり得ない話であるが(しかし、ゲーテも活用した元ネタがあるというのはどういうことだ)、これもファンタジーゆえに強烈な魅力がある。澁澤龍彦がお好きな人は、『マルジナリア』の中に「バッソンピエール談義」という、じつに魅力的な短い文学談義があるのを御存知だろう。澁澤のある友人(誰だろう)が、どうしてこの小説はこんなに好ましいのだろうとふと言い出して、それについて二人でおしゃべりをするという小文だが、あざやかに心に残っている。ちなみに自分も、このファンタジーが大好きだ。天才・ホーフマンスタール。旧・川村二郎訳で読み直してみてもよいかも知れない。

チャンドス卿の手紙/アンドレアス (光文社古典新訳文庫)

チャンドス卿の手紙/アンドレアス (光文社古典新訳文庫)

マルジナリア (福武文庫)

マルジナリア (福武文庫)

 
リヒャルト・シュトラウスの「メタモルフォーゼン(23の独奏弦楽器のための習作)」で、指揮はクリストフ・フォン・ドホナーニ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団NML)。
R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」OP.20

R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」OP.20

シューベルトのヴァイオリン・ソナタソナチネイ短調 op.137-2 D385 で、ヴァイオリンはギドン・クレーメル、ピアノはオレグ・マイセンベルク(NML)。
Schubert: Violin Works

Schubert: Violin Works

ハイドンのピアノ・ソナタ第四十二番 Hob.XVI:27 で、ピアノはニクラス・シーヴェレフ(NMLCD)。■トーマス・ラルヒャー(1963-)の「Naunz」で、ピアノはトーマス・ラルヒャー(NML)。
Naunz

Naunz