冨田恭彦『ロック入門講義』 / 長谷川貴彦『イギリス現代史』

晴。


モーツァルト交響曲第三十六番 K.425 で、指揮はトン・コープマンアムステルダム・バロック管弦楽団古楽器オーケストラによるモーツァルトでも、ブリュッヘンの古典的なそれと比べるとコープマンのはかなり鋭角的。あと、音がちょっと濁っているというか、きたない感じがする。


ニコライ・メトネルピアノ五重奏曲ハ長調メトネルという作曲家はまったく知らない。20世紀前半のロシアの作曲家で、保守的なスラブ系ロマン派の音楽という感じである。でも、歴史に埋もれた曲を聴くというのはおもしろいのだよね。我々のほとんどは歴史に何も残さず埋もれてしまうわけだが、かようなことの不思議さというか当り前さを感じさせて興趣が尽きない。なお、メトネルに関する日本語版 Wikipedia の記述はかなり充実していて、別項として楽曲一覧のページまであるのがおもしろい。

冨田恭彦『ロック入門講義』読了。副題「イギリス経験論の原点」。

ロック入門講義 (ちくま学芸文庫)

ロック入門講義 (ちくま学芸文庫)

「三角形」という概念は図像ではない。けれども我々が三角形に関する数学的定理を探求する場合、図像としての特殊的三角形が必ず必要であり、そこで得られた定理はしかし特殊的ではなく、一般的かつ抽象的に理解してかまわない。このことは本書に拠ればカント的な「観念」理解で、著者はこれには批判的であるっぽいが、けれども(本書によってそう理解されたところの)カント的な視点こそがおもしろいのだ。本書は一貫してロックの「観念」を反図像的に理解し、それが「正しい」という口ぶりであるが、それだとあまりにも「観念」なる観念の中身が痩せてしまうことになる。そして、バークリやヒュームをこき下ろす羽目になる。ってまあバカな素人たるわたくしにはそれはどうでもいいのだが。


長谷川貴彦『イギリス現代史』読了。

イギリス現代史 (岩波新書)

イギリス現代史 (岩波新書)


自分の本の読み方はじつに勝手だね。他人の役には立たないな。