ケネス・J・アロー『組織の限界』/結城浩『数学ガール フェルマーの最終定理』

雨。
一晩寝ても昨日の大江健三郎坂本龍一が消化しきれておらず、午前中はその後始末。しかし、日本の爺さんたちはすごいではないか。あとの世代はどうなのだろうなあ。人ごとでない。大変です。


散歩してきた。桜は近所のもの。じつに平凡ながら毎年撮る。細雨が降っているので暗いですが。

ケネス・J・アロー『組織の限界』読了。村上泰亮訳。

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

組織の限界 (ちくま学芸文庫)

図書館から借りてきた、結城浩数学ガール フェルマーの最終定理』読了。いやあ、おもしろかった。ラノベ的展開はおじさんにはしんどいが、頑張って読みました。本当にこのシリーズはすごいなあ。これでどれくらいたくさんの若い人たちが数学に親しめるようになったか、計り知れないものがある。中学生でも(マジです)わかるところから、このアホのおじさんにもわからないくらい高度な数学世界まで、数学にワクワクさせてくれること必定であります。若い人には是非オススメ。数学好きでも数学は苦手でも、どちらの人にも勧められますよ! ラノベ的ラブストーリーとしても素敵です、これはたぶんですけれどね。
数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

しかし、このシリーズを読むと自分が数学に向いていないことがよくわかる。僕は頭でっかちな人なのですね。こういう人間は、テストなんかは割といい点を取るかも知れないが、種を蒔いてじっくり育てていくような考え方は苦手なのですね。そして、数学ってのはそういうものだと思います。まあしかし、数学はそれでも結構好きなので、これからもぼちぼちやっていきたい。凡人ですよ。
それにしても結城先生はえらいなあ。僕がプログラミングを始めたのも結城先生の Perl 本からですよ。地の塩なり。
新版Perl言語プログラミングレッスン入門編

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小平先生の『解析入門』の冒頭を拾い読みしている。ここでももちろん数列の収束はいわゆる「ε-δ(イプシロン・デルタ)論法」で定義されている。つまり、

数列 {αn} が与えられたとし、αを一つの実数とする。任意の正の実数εに対応して自然数 n0(ε) が定まって
  n > n0(ε)  ならば  |αn - α| < ε
となるとき、数列 {αn} はαに収束するという。

ということである。ここで先生は、この定義と同等な次の定理を証明される。

数列 {αn} が実数αに収束するための必要かつ十分な条件は、ρ < α < σ なる実数ρ,σが任意に与えられたとき、不等式:
  ρ < αn < σ
が有限個の自然数 n を除いて成立することである。

これが先生の工夫で、こちらの方が直感的にわかりやすいのは明らかだ。収束値の両側からぎゅーっと挟んでやるというイメージだからである。実際この定理は多用されており、便利なので、この証明は是非見ておくとよいと思う。上の定義がしっかりわかっていないと、自分で証明するのはやさしくないだろう。
(追記)この定理は無限数列の場合しか正しくないね。小平先生はそれは定理そのものには記していないが、解説の部分で「当然のこと」として断ってあった(いやこれ、定理の部分に含まれるのかな)。しかし、ふつうたんに「数列」と言った場合、それは必ずしも無限数列を指すということはないと思う。なお、もとの定義は有限数列の場合でも問題は生じない。