エミール・アルティン『ガロア理論入門』

晴。

モーツァルトのピアノ協奏曲第二十三番 K.488 で、ピアノはグリゴリー・ソコロフ、指揮はブルーノ・ヴァイル。すばらしい演奏なのだが、ソコロフは何と勝手に通奏低音や楽譜にない装飾をたくさん付けている。特に第二楽章はロマン派的な装飾がいっぱいで、自分には気にするなと言われても無理だ。もう少し控えめにやってくれたらよかったのだが。

ブラームスのピアノ協奏曲第一番 op.15 で、ピアノはエミール・ギレリス、指揮はオイゲン・ヨッフム。ほぼ理想的な演奏に聴こえる。深く深く感銘した。それにしても、いまブラームスほど時代遅れの音楽があるだろうか。いまや豊かな人間性というのが失われた時代である。そしてまさに巨匠と呼ぶべき偉大な音楽家たち。いつの間にか遠い時代のことになっていた。愚か者はただ嘆くのみ。

ショパンの七つのマズルカで、ピアノはエウゲニー・キーシン。何と素直な音楽性だろう。ショパンマズルカはここで聴かれるよりもう少し深い音楽なのだが、これはこれで悪くない。というか、次第に惹き込まれていく自分に気づいた。自分はこれまでキーシンがなぜ人気ピアニストなのかわからなかったが、なるほどという感じがした。じつに素直で、音楽の魅力がストレートに伝わってくる。ピアニストのアスリート的な側面を完全に忘れて聴いているのに気づく。

昼から某所。帰りに県図書館に寄る。図書館の雰囲気というのが結構好きになってきたようだ。半分は読まないのだけれど、いつも上限近くまで借りる。
学者肌で硬派な本ばかり並んでいる某ブログ(迷走しておられるそうです)の自虐がいつもすごくて瞠目する。自殺しない程度に自虐して欲しいと思う。しかし、こういう人ほど生きにくい世の中で、そんなのばかりだよな。マジメすぎて自殺しても世間は冷たいので、まあ死んだあとなどどうでもいいといえばそうなのだが、人の不幸を喜ぶ人間をわざわざ喜ばせてやることもあるまい。何か笑えることを探さないとな、というのは自分にも言うこと。僕もいつまでやっていけるのかとも思うのでね。まああのドゥルーズも自殺したのだけれど。
しかし、自分をかしこいと思っている人は大変だ。僕なんか自分がバカでカスだと(ようやく)わかったので、多少マシになった。かしこいと自覚している人がいい人だと、こじらせるよね。

韓国の大統領が弾劾されて罷免されたが、結局あの人って具体的にどういう犯罪を犯したの? さっぱりわからないのだが。何かテレビでは「有罪だと確定したから、これから捜査が始まる」と言っていたが、これ何のこと?(笑) ふつう捜査をしてから立件して裁判をするものだと思っていたのだが、そういうわけではないのだな。誰もそんな疑問などもたないのか、テレビを見ていても何もわからない。って別にそんなに関心があるわけではないのですが。ゆえに何も知らないのです。

mathnb さんに言われて今年の早稲田大学の数学の入試問題(参照)を見てみたが(「基幹理工・創造理工・先進理工」って何?)、これはむずかしそうですな。ガロア群の背景を出して詳しく論ぜよとか、所詮高校数学に毛が生えただけの自分には無理だし。しかし、複素平面上の直線とかも、高校数学を殆ど逸脱していないか? 全体的に点を取らせてくれる問題がないという第一印象。まあこういう難関大学の難関学部(なのだろう)を受けるなんていう奴の自業自得だな。これ、そのうちやるのかな、面倒だな。
ガロア理論かあ。ここに解説書(文庫本どす)があるのだが、むずかしいですな。現代数学ってのは理解できるだけで既にすごいですよ、マッタク。数学科の大学院とか、ほとんど頭おかしいし。

ガロア理論入門 (ちくま学芸文庫)

ガロア理論入門 (ちくま学芸文庫)

この本、いま二時間くらいでざっと目を通してみたが、訳者の親切なガイドが付いていることに気づいた。ところどころに内容の要約があったり、原書にはない練習問題(とその答え)まで加えてあって、丁寧な仕事である。もちろん自分にすぐわかるような本ではない、というか、一生理解できなくても不思議ではないが、簡単な部分だけでも見ておきたくなるような、いい本になっているみたい。わかる部分だけでも、ネット上で読書メモでも作りたくなってくるくらいだ。