2次元複素空間 で、点(0, 0) 以外の点を (l, m) と置くとき、その比 l : m を考えてこれを一点と思い、(l : m) と書く。これの全体を
と記して複素射影直線(1次元複素射影空間)と呼ぶ。
定義より、0 でない複素数 a を取ると、比だけが問題なので (l : m) = (al : am) が成り立つ。つまりはこの二つは同じ点を表す。この (l : m) を の斉次座標と呼ぶ。
ここで複素射影直線の部分集合
を考えると、写像
によって と
を同一視できる。リーマン球面の実軸と無限遠点を合わせたものが、じつは実射影直線
に対応する。そして、明らかに
であるが、 より点 (0 : 1) はリーマン球面の無限遠点に相当するので、
とリーマン球面も同一視してよいことがわかる。
ここで、写像
を考える。(0 : 0) という点はないので、この写像が意味をもつには
であることが必要十分条件である。このとき、z = m / l とおくと
となるから、写像f は 1次分数変換に他ならない。この から
への写像f を、射影変換と呼ぶ。これは明らかに行列
を使って表すことができる。

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