『ハズリット箴言集――人さまざま』

日曜日。晴。

ロザリン・テューレックの弾く、バッハの平均律クラヴィーア曲集第一巻第十五番(BWV860)〜第二十四番(BWV869)を聴く。テューレックの巨大さ、バッハの巨大さ。

J.S.BACH: the Well

J.S.BACH: the Well

 

バッハのヴァイオリン協奏曲第一番 BWV1041 で、ヴァイオリンはアルテュールグリュミオー。とても美しい演奏。いわゆる精神性みたいなのも欠けてはいない。それにしても、この動画に否定的評価が100以上付いているのには驚く。人それぞれなのだなあ。しかし、美しすぎるのがいけないのだろうかね。


 

シューマン幻想曲ハ長調 op.17 で、ピアノはレイフ・オヴェ・アンスネス。すばらしいシューマンだった。これを聴いていて、アンスネスという人が興味深かった。誤解してほしくはないのだが、アンスネスは天才でも秀才でもなく、凡庸な努力家だと思う。そういう意味で、自分と似たところがあって(自分はもっと低レヴェルだが)、とても共感した(年齢も近い)。それにしても、よくもここまで自分の精神を鍛え上げたものだと思う。そして、一切の才能など当てにするかというようなスタイル。ふつうのピアニスト、芸術家、何でもいいが、ほとんどは才能でやっているだけだ。だから、たいていは自分の才能を超えられないのである。アンスネスは、いまどきめずらしい分裂気質のタイプだと思う。ピアニストに限ってみても、こういうタイプは本当に少なくなった。ポリーニなんかはこのタイプに属すると思うが、キャリアの途中から壊れてしまった。分裂気質には、そういう危険性がある。アンスネスの大成を祈りたい。


リヒャルト・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」で、指揮はジュゼッペ・シノーポリ。他の指揮者で聴こうかなとも思ったのだが、色いろつまみ食いしつつ結局またこの動画を選んでしまった。後期ロマン派の爛熟しきった退廃がこれほど感じられる曲もめずらしい。まあポピュラー曲といってもいいのだが、それにしてはむずかしいポピュラー曲だ。なかなか把握し切るのは容易でないというか、まだ自分には無理である。シノーポリ+シュターツカペレ・ドレスデンの演奏は最高。耽美的きわまりない。この曲の最良の演奏のひとつだと思う。

Google Chrome がログイン情報が古くなったといって、アカウントのパスワードの再入力を求めてきた。それはまあいいのだが、いままで Chrome で管理していたパスワードが、色んなサイトを訪れるとすべて再入力を求められるようになって、面倒きわまりない。いったんブラウザのパスワード情報がクリアされた模様である。おかげで(?)手帳を見てどこでも ID とパスワードを入れ直している。まったく、安全のためとはいえ。

先日ツイッターはむかつくと書いたが、このところはツイッターを見ると落ち込む。どうもツイッターは「現代社会」とやらが強く現出する場所のようで、○○○の全面的な崩壊を目の当たりにして平静でいられない。何だか本を読む元気も出ず、現実逃避している。もはや「リアル」の世界は「現実度」を次第に下げている。むしろ、この場所にこそ「現実」が強く顔を出すようになったのだ。ネットはすごい勢いで「リアル」の世界を侵食しつつある。自分はバカなので、いまごろそんなことを実感している始末だ。

まともなネットリテラシーをもった人間がひとり誕生する間に、ネトウヨレイシスト、米国拝跪者(=アメリカ人の靴と尻を舐める連中)が10人出てくる感じ。もうおしまいだ。

図書館から借りてきた、『ハズリット箴言集――人さまざま』読了。中川誠訳。

ハズリット箴言集―人さまざま

ハズリット箴言集―人さまざま