丸山眞男『政治の世界 他十篇』 / A・アルトー『タラウマラ』

曇。
 

モーツァルトのピアノ・ソナタ第十一番 K.331 で、ピアノはアナトリー・ヴェデルニコフYou Tube に上っているヴェデルニコフによるモーツァルトソナタの録音はこれだけのようだな。これがいいだけに残念。


モーツァルト弦楽四重奏曲第十九番 K.465 で、演奏はゲヴァントハウスQ。好演。

丸山眞男『政治の世界 他十篇』読了。僕はこれまで丸山眞男は食わず嫌いだったのだが、読んでみて予想どおりだったところも多い。僕は基本的に政治学という類の学問をさほど好まないタイプであると思う。こういうのは、アカデミズムがやったらいいのである。しかし、まったくつまらないということもなかった。政治学はよく知らないから良きにつけ悪しきにつけ新鮮であったこともある。僕は、どうでもいいおしゃべりは別に嫌いではない。それから、雑談っぽい話にはかなりおもしろいところもあった。丸山眞男のいうところの、彼の「本店」でない部分(つまり「夜店」)である。ここでは、丸山眞男に柔軟なところが見られ、ハッとする記述が結構あった。これはかなり意外なことだった。以上、明白に素人の放言にすぎない。たぶん丸山眞男はもう少し読むだろう。政治学の本も丸山以外に読むかも知れない。

政治の世界 他十篇 (岩波文庫)

政治の世界 他十篇 (岩波文庫)

それにしても、日本は保守が「気に入らないから(例えば憲法を)変える」であり、リベラルが「(例えば憲法を)守る」というのは、何だか語義と逆転しているというのは、いまでもまさしくそうで、なるほどなと思った。それから、「多数決」は異論があるからするのであり、異論を許容する考え方だというのとか、政治的に「無駄な抵抗」をするのはじつは全然無駄でないとかいうのもね。当り前のことかも知れないが、自分にはおもしろかったのである。

ひさしぶりにカルコス。最近の自分にしては結構買った。ちょっと海のものとも山のものともわからない著者を読んでみようかと思った。
現代思想」誌最新号の、國分さんと千葉さんの対談を立ち読み。このところ意外な場所でもこの人たちの名前を見かけるようになった、いま注目の二人だ。僕はそれほどよく知らないのだが、確かに二人とも decent で、若い人たちにはめずらしい感じである。対談は斜め読みだったので判断はできないが、なかなかいい雰囲気だった。ただ、これは僕の無知かも知れないが、二人ともあまりにも西洋哲学の土俵のみで相撲をとっていて、もっと猥雑に色いろあったらもっとよかったのにとかも思った。これは、やはりいま風でもあると思う。あんまりドゥルーズだのガタリだのアーレントだのとばかり言っていてもなあ。でも、これは彼らの意図的な戦略なのかも知れないけれど。とにかく、こういうことをいま言うのはバカだけだが、もっと「教養」が欲しい。いや、自分だって教養はないのですが、何といっても期待の星たちですから。言い換えれば、もっと広い視野が欲しいというか。大きく開花してもらいたいですね。

何だかあまり元気が出ないので、コンビニでカルピスウォーターを買ってきた。って謎ですね。

A・アルトー『タラウマラ』読了。宇野邦一訳。

タラウマラ (河出文庫)

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