稲葉振一郎『不平等との闘い』/宮崎駿『風の谷のナウシカ 3』『4』/『吉本隆明全集5 1957-1959』

晴。
よく寝た。
音楽を聴く。■モーツァルト:ピアノ協奏曲第二十三番 K.488(ペライア参照)。クラシックを聴き始めた頃に好きになった曲であるが、いまでも同じくらい好きである。そのころよりもさらに深く聴けるようになっていると思うし、多少は進歩したのでもあろうか。■ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第二番 op.100 (コーガン、ムイトニク、参照)。コーガンはこの曲はいいのではないかと予想していたら、やはりよかった。ブラームスにしては多少素っ気ないが、悪くない。ただ、ピアニストがちょっと平凡かな。

稲葉振一郎『不平等との闘い』読了。副題「ルソーからピケティまで」。自分には猫に小判なのだが、素直に啓蒙されました。なかなかおもしろかった。まことに知らないことだらけ。著者自身の数理モデルを元にした議論は、自分にあまりにも経済学的素養がないことが判明してしまった。そもそも、いつもエラそうなことを言っているくせに、「人的資本」もよく知らないんだぜってところで、人的資本って概念はなかなか興味深い内容をもっているのだなあと思った。これについては、もう少し勉強してみたい。なお、例のピケティは、人的資本ばかりでなく、「物的資本」を重要視した実証を行っているそうである。とにかく圧縮されたチャート本なので、特に若いひとにお勧めしたい。かなり歯応えがあると思うけれどね、挑戦する価値はあるだろう。


一般相対性理論シュバルツシルト解を、次元を落として図示してみたいのだが、gnuplot か何かで出来ないですかねえ。Ruby だとテンソル計算をするのが面倒らしいし、やっぱり Python を使うしかないか。Python なら(ライブラリが存在するので)たぶん出来そうだが、誰かがやったのがネットのどこかに転がっていないかな。たぶん大学院生くらいの力があれば可能だと思うのだけれど。
 ぐぐってみたら、Python ではかなり引っかかるな(検索)。Ruby では(検索の仕方が悪いのかも知れないが)何も引っかからない。うーむ…。お、gnuplot ではまずまず引っかかるな(検索)。
なんと、Landau & Lifshitz がフリーで読めるとは!
 Internet Archive Search: creator:"L.D. Landau & E.M. Lifshitz"
しかし今や、英語ができるかどうかで膨大なアーカイブへのアクセス可能性が決ってしまうなあ。なんだかこれも嫌になるような…。
まつもとゆきひろさんも英語が出来るから、Ruby を作ることができたのだよね。英語の本もたくさん読まれたようだ。Ruby が世界的になったのも、英語ができるというのと大いに関係がある。確か、2年くらいかけて Ruby の英語のドキュメントを書かれたのではなかったか。

宮崎駿風の谷のナウシカ 3』『4』読了。映画版よりはるかに深くて、かつおもしろい。登場人物たちの性格も少しちがう。クシャナなどは、お嬢様ながら、こちらでは相当に複雑でスケールの大きい人物だ。兵士たちからも慕われている。
風の谷のナウシカ 3 (アニメージュコミックスワイド判)

風の谷のナウシカ 3 (アニメージュコミックスワイド判)

風の谷のナウシカ 4 (アニメージュコミックスワイド判)

風の谷のナウシカ 4 (アニメージュコミックスワイド判)


図書館から借りてきた、『吉本隆明全集5 1957-1959』読了。どうして半世紀以上も前の吉本さんの文章が、こうも自分の中に沁み入ってくるのか、不可解なほどである。いったい今や、誰が吉本さんを読むのか。読んでいてセンチメンタルな気分になったりしたのは、書くのがバカバカしいから書かない。蓮實重彦は「吉本隆明は滑稽である」と書いたが、たぶんそうなのかも知れない。自分もまた滑稽なのだろう。浅田彰は「自分は吉本隆明を評価しない」と述べた。なるほど。それでも、自分は吉本隆明全集には時に砂漠のオアシスのような救いを感じる。図書館で借りて読むだけだが、読める限りは読もうと思っている。
吉本隆明全集〈5〉 1957-1959

吉本隆明全集〈5〉 1957-1959