広江克彦『趣味で量子力学』

晴。この冬は本当に暖かい日が続くな。まだ雪どころか、霜も降りたかどうかというところだ。
音楽を聴く。■バッハ:フランス組曲第五番 BWV816(シフ、参照)。■ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第六番 op.30-1 (ズーカーマン、バレンボイム参照)。■ラフマニノフ交響曲第三番 op.44 (アシュケナージ参照)。これはいい。得るところが多かった。■シューベルト歌曲集 (tr21〜tr29) (ヴンダーリヒ、ギーゼン、参照)。
イオンの写真屋。イオンの駐車場がひどい混雑。えらく遠いところに駐めさせられた。ここ各務原のイオンは、全国のイオンの内でも売上げ(か何か知らないが)が二位とか三位とかいうくらいらしい。どうなっているのだろうね。何で皆んなそんなにイオンばかりなの?
久しぶりにカルコス。単行本二冊を含め、10冊買う。

広江克彦『趣味で量子力学』読了。おお、ついに出たかという感じ。ちゃんとカルコスに置いてあってとっても嬉しかった。これで EMAN さんの「趣味」本も三冊目で慶賀に堪えない。これはサイト「EMAN の物理学」そのままの内容ではないので、EMAN さんの世界が好きな人は買っても損はないです。で、EMAN さんはじつはこの倍の厚さの分量を書きたかったそうです。でも、値段が高くなるので涙を呑んでこのページ数にしたそう。本書が売れれば続編が出せるかも知れないそうなので、ファンはちゃんと買いましょう。
 で、一気に通読した感想だが、やはり「量子力学はむずかしい」ということ。そりゃお前の頭が悪いせいだろうと云われるかも知れないが、まあそれは確かにそうなのだけれど、僕の言いたいことはそれとはちょっとちがう。数学的な点で云えば、本書のような入門レヴェルの内容ならば、僕だってだいたいはわかっているつもりである。それでも本書はむずかしいし、量子力学は理解するにむずかしいのだ。これが一般相対性理論ならば、これも確かにむずかしく、僕などにはそれを使って問題をバリバリ解いていく力はないけれども、それでも一般相対性理論のあらましは見えている感じがする。イメージとして、自分の理解はそんなに見当はずれではないことは確信しているのだ。量子力学には、そういう感じがもてない。何だか、どこをどう攻めていったらよいかわからないというか。
 本書に目を通しても、それを克服したという感じは自分にはまだない。しかし、ちょっと見えてきたところもある。こう言っては失礼だが、EMAN さんは抜群に切れる秀才ではない。であるからこそ却って、納得するまで自分で考えるということをされている。そこらあたりで見えてきたのだ。まだそれは上手く言語化できないが、とにかく量子力学は「公理論」的に考えているだけではダメなのだ。僕は、典型的な還元主義者、公理論的発想をするタイプだと思う。ここの攻め手からだけでは、どうも突破口は開けないらしい。
 いつもの EMAN さんの本と同じで、本書は抜群の秀才のための本ではない。どちらかというと、何とか量子力学を理解したいが、どの教科書を読んでもよくわからなかったというような、ある意味凡人の助けになるかも知れない本である。かと言って、アマチュアだけのための本でもない。いつもながら、自分は読んで楽しかった。しばらく本書をあちらこちらひっくり返すつもりである。EMAN さんが書きたいという続編も、期待して待ちたい。

趣味で量子力学

趣味で量子力学

EMAN さんの物理本って個性があるよな。だれもこんな風にはやっていないという。それからしても立派なものである。
ただ、量子力学だって「これだけわかっていればよい」という、理論ミニマムはあるだろうな。ただ、それが公理論的に展開されていないのだと思う。相対性理論は逆に、徹底的に還元主義的、公理論的である。