仲正昌樹『マックス・ウェーバーを読む』/バナジー&デュフロ『貧乏人の経済学』

休日(秋分の日)。晴。
仲正昌樹マックス・ウェーバーを読む』読了。あんまり勉強にならなかった。まあ、第二章の「ウェーバーの政治観」と第三章の「社会科学の方法論」は、まずまず参考にはなったけれども。自分は素人なので確かなことは知らないが、第一章で解説されている『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の主張は、実証研究で否定されたというのを読んだことがある。それから、著者が現代日本の(学問)事情を語るところは、正直言ってウンザリ。どうでもいい。

図書館から借りてきた、A・∨・バナジー&E・デュフロ『貧乏人の経済学』読了。山形浩生訳。副題「もういちど貧困問題を根っこから考える」。題名からすると誤解されるかもしれないので、注意しておくと、本書は後進国発展途上国における、援助活動に関する本である。いつもながら訳者解説が優秀なので、中身に関してはそちらを参考にして欲しい。簡単な感想だけ、書いておく。まず、援助というと、自助努力に俟つべきで、援助など無意味だという意見と、その反対に、どんと一気に援助しないから、いつまで経っても貧困がなくならないという意見と、両極端がある。自分などはどちらかと言えば前者であったが、本書を読んでわかることに、そのどちらもが一面的なのである。つまり、うまくやれば援助は効果があるという、まあ穏当な結論なのであるが、そのうまくやるというのに、一律の固定した方法などないというのが、本書の主張のひとつでもある。実際本書では、様々な部類の状況で様々な調査をやっており、その実証性が本書の大きな価値であろう。援助の効果を計るというのは、可能なのだ。それから、本書の著者たちは経済学者であり、経済学の教科書めいた記述こそないものの、本書を読んでいると、経済学の知見の重要性が実感される。とにかく、本書は徹底してドグマを排してあるところは、圧倒的ですらある。本書が必要という人は少ないかも知れないが、自分のような一般読者でも、このような知見は共有された方がいいとは思うし、(嫌な言い方だが)知的な読み物としても、読者を充分に満足させるだろう。
貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える

貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える