スピノザ『神学・政治論(下)』

曇。夜雨。
音楽を聴く。■ショーソン弦楽四重奏曲ハ短調op.35(ルートヴィヒQ、参照)。■モーツァルト交響曲ト長調「Neue Lambacher」(ベーム参照)。

スピノザ『神学・政治論(下)』読了。吉田量彦訳。翻訳には非常に苦労されたであろう。素晴らしい本だから、一人でも多くの人に手に取ってもらいたいものだと思う。アクチュアリティだって充分ある。古典新訳文庫、頑張っているな。

神学・政治論(下) (光文社古典新訳文庫)

神学・政治論(下) (光文社古典新訳文庫)


今の若い人たちについて気になるのは、どうもあまり国というものを信用しすぎなのではないか。もちろん、国家のやることにはすべて反対というのは馬鹿げているが、国家は国民に対し必ず嘘をつくというのも、自分は真実だと思っている。だから、国家のやることに対し、常にある意味で懐疑的でいるというのは、それなりに合理的な発想だと思っている。若い人たちだけではないかも知れないが、あまりにも権力というものに対し、ナイーブ過ぎるのではないか。政治において「工学的」な発想というのもわかるが、国家は「技術論」だけでは済まない。