菊池良生『神聖ローマ帝国』

晴。
音楽を聴く。■ベートーヴェン弦楽四重奏曲第七番ヘ長調op.59-1(エマーソンSQ)。名曲。■シューマン:おとぎ話 op.132(ポータル他)。クラリネットヴィオラ、ピアノと、変った編成のめずらしい曲。

菊池良生神聖ローマ帝国』読了。面白かった。著者自身が言うとおり、人物主体の歴史書は、最近では流行らないので、歴史叙述は多少古めかしく見えるところがある。著者は確信犯的だ。しかしその一方で、個性的な人物たちが活躍するから、読み物としては楽しい。もちろん、事実もよく調べておられるような印象で(って何様かと云われそう)、わかりにくい中世のドイツの歴史が解けてくるのがありがたい。というか、そう簡単には「ドイツ」なる国は誕生しないのだ。様々な領邦国家に分かれ、その中で「神聖ローマ帝国」という複雑な存在が、膠の役割を果たしていくのである。また、神聖ローマ帝国とイタリア、特に教皇庁との結びつきは極めて重要かつ本質的だ。
 本書はリーダブルで、著者の他の新書も、読んでみたくなった。

神聖ローマ帝国 (講談社現代新書)

神聖ローマ帝国 (講談社現代新書)