対称な双線形形式

体Kへの双線形形式 g(v,w)(v,w はベクトル空間∨の任意の元)について、
   g(v,w)=g(w,v)
が成り立つとき、双線形形式 g:∨×∨→K は対称であるという。これはスカラー積(内積)に他ならない。
(定理)体Kにおける n×n 行列Cは、それが対称行列であるとき、そのときに限って、対称な双線形形式である(参照)。
(証明)Cが対称行列(すなわちtC=C)であるとすると、X,Y∈Knに対して、 tXCYは 1×1 行列(つまりKの元)であるから、その転置行列と等しい。つまり、
   
となって、これはCが、対称な双線形形式であることを示している。
 逆に、Cが対称な双線形形式であるとする。これはすなわち、すべてのX,Y∈Knに対して、tXCY=tYCXと仮定することであり(これらは 1×1 行列(∈K)であり、転置しても変らない)、よって、
   
となって、結局tXCY=ttCYを得る。したがってtC=C。証明終。