ホフマン『砂男/クレスペル顧問官』/貝塚爽平『富士山の自然史』

晴。
音楽を聴く。■ベートーヴェン弦楽四重奏曲第十番変ホ長調op.74(エマーソンSQ)。■リスト:巡礼の年第一年〜スイス(ベルマン)。この曲はブレンデルの引き締まった演奏が忘れがたいが、このベルマンのも洵にすばらしい。ベルマンは一九世紀的な、名人芸を聴かせるピアニストのように云われ、また本人もそう言っているけれど、確かに名人芸の迫力はその通りとは云え、この曲では静かな、スローな部分もまたとても魅力的だ。しみじみと聴かせるのである。「巡礼の年」はリストの中でも殊に内省的な曲であり、虚仮威しのないところがいい。まちがいなく、名盤として知られているだけのことはある名演である。(※追記 何だかブログで取り上げている人が多いと思ったら、村上春樹の小説の中で、この演奏が出てくるのか。なるほどね。)

Liszt: Annees de pelerinage (Complete recording)

Liszt: Annees de pelerinage (Complete recording)


ホフマン『砂男/クレスペル顧問官』読了。大島かおり訳。ホフマンの代表作三篇だから、おもしろくないはずがない。訳文は読みやすいが、原文を知らないのでどうかとも思うけれど、もっとダンディな文章でもよかった気がする。ちょっと子供向けの文体という感じ。でも、ダメだというわけではない。
砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)

砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)

貝塚爽平『富士山の自然史』読了。題名は本書の内容を誤解させかねない。本書は地理学の本であり、富士山が話題になっているのは、ほんの一章に過ぎないのである。それにしてもシブい本を文庫化したものだ。どういう基準でしているのか知らないが、こういう既にお亡くなりになっている学者の、まず売れそうにもない本を入れるというのはすごい。せっかく文庫に入ったのだから、図書館などは積極的に買ってほしいものである。地理学でいう「第四紀」の話など、おもしろかった。しかし、「第四紀」の年代が書いていないのですけれどね。常識なのだろうか。それから、やはり関東の話が多いなあ。
富士山の自然史 (講談社学術文庫)

富士山の自然史 (講談社学術文庫)

『ラング 線形代数』を読む。昨日の線形代数のエントリーに追記する。(AM2:22)

codecogs が復活した。ホッ。昨日の分を書き直す。

今の子供たち(の一部)が酷くて、どうも元気がなくなる。特に自分の周りだけのことだと思いたい。高橋源一郎さんが、ある時点で(詳しいことは忘れた。九〇年代の途中だったか)日本の小説の OS が変ったと、どこかで述べていたのを思い出す。それと関係があるような気がして仕方がない。奴らの親は、ちょうど自分の世代だ。ふぅ。まあ、酷いのは子供たちだけではないか。人のことは云えないし、そもそも独身の自分に、そうしたことで何か云うべき権利があるのか。あーあ。