芦田正巳『複素関数を学ぶ人のために』

僕は複素関数が苦手なので、どうも極やさしい本から読んだ方がいいと思い、本書を図書館から借りてきてざっと目を通した。驚きましたね、どうも。自分はじつは、初歩的なところからきちんと理解していないことがわかってしまった。
 まず驚いたのは、z を複素数とするとき、ez というのは、必ずしもネイピア数の z 乗ではない! ということである。これは複素数の「指数関数」というしかないものなのだ。そもそも、複素数の累乗というのが、そう簡単ではない。これには、本質的に(複素数の)対数関数の考察が必要となる。すなわち、z,c を複素数とすると、
   
と定義されるからだ(これは多価関数である)。だから、仮にここでは指数関数を exp() と、ネイピア数を e と書けば、
   
     
となるのである(Log は主値を意味する)。
 また、これも驚いたのだが、複素関数を使う場合は、対数関数の書き方について、実関数の場合と複素関数の場合の区別があった方がよいということである。本書では、実関数の場合だけ、 のような書き方を採用している。でないと、log2 のような表記が何を指すか、曖昧だからだ。本書の記法だと、
   
などと書くことができる。これも多価関数なのだ。
 他にも、さて、次が簡単にわかるだろうか(p.47)。
(1) であるが、 である。
(2) であるが、 である。
(3)


 そのうち、他にももう少しメモしておこうと思う。