ゴルドーニ『珈琲店・恋人たち』/マーク・ロナン『シンメトリーとモンスター』

休日。晴。
どうも寝過ぎ。
音楽を聴く。■バッハ:管弦楽組曲第三番、第一番(リリング)。第三番みたいな甘い曲が、どうして好きなのかな。聴くたびに陶酔してしまう。■バッハ:フランス組曲第五番BWV916(アルドウェル)。
ゴルドーニ『珈琲店・恋人たち』読了。十八世紀イタリアの、喜劇二篇。どちらも他愛ないもので、さらりと読むのに適しているだろう。両篇ともに、ドン・マルツィオやファブリーツィオのような癖のある人物が興味深い。「珈琲店」のドン・マルツィオなど、最後に皆の総スカンを食ってしまうわけだが、訳者の云うとおり、ちょっと後味が悪くないでもない。口は軽く、性格もいい加減だが、特に悪事をはたらいているわけではないからだ。「恋人たち」のエウジェーニアは、とんでもなくひねくれていて、愛している筈のフルジェンツィオの言動を、とにかく悪い方に解釈するたわけ娘であるが、なんとかハッピー・エンドになってホッとさせられる。結局、来訪者のロベールトの、一見軽率な発言で恋人たちは結ばれるわけだが、はっきりとは記されていないけれど、もちろんロベールトは、すべてを承知のことだったのだろう。なお、二篇とも、翻訳はいきいきとした調子が出ている。

図書館から借りてきた、マーク・ロナン『シンメトリーとモンスター』読了。副題「数学の美を求めて」。題名を見て、これは何の本だろうと思われる向きもあろう。じつは現代数学についての本で、もう少し詳しく言うと「群論」の分野、それも単純群の分類の驚くべき歴史を、実際の群論の研究者が一般向きに書いたものである。少し専門的になるが、単純群とは群の原子のようなものであり、それは現在ではすべて発見され終わっているのであるが、その経過はドラマティックなものであった。「モンスター群」というのは、その中で最大の、途轍もない大きさを持ったものであり、不思議なことに数論や物理学の世界とも関係があるらしい。個人的には、少し前に群論の初歩的なメモ(参照)を作っていたので、とても生々しく読むことができた。本書は一般向けの本ではあるが、何の予備知識もないと、少々むずかしいかも知れない。しかし、日本語では類書もないようだし、自分にはかなりおもしろかった。勉強がしたくなるような本である。
シンメトリーとモンスター 数学の美を求めて

シンメトリーとモンスター 数学の美を求めて


音楽を聴く。■バッハ:イタリア協奏曲(リヒテル)。録音年・録音場所は不明だが、リヒテル全盛期のであることは間違いない。自分の持っている中で、この曲の最高の演奏。やたらと速すぎるグールドを超える。

もともと速い筈の Google Chrome が最近、「ホストを解決しています」と出てやたら遅いので、調べてみた。ここのとおりにやったら、かなり速くなったので、御報告。「Google Public DNS」というのを使っているらしい。