偏微分の定義

複素解析のコーシー=リーマンの関係式を導出するため、二変数(実数)の偏微分から考えてみる。
二変数関数 を考えるとき、一点 (p0, q0) で関数が(全)微分可能であるとは、適当な定数 A,B をとると、
   
        
で、 のとき が成り立つことである。
 このとき、それぞれ上で とおいて、 とすると、
    
    
となり、それぞれ点 (p0, q0) における、f の p(または q)に関する偏微(分)係数が定義される。

※注 なお、上の式の は、 を一次までテイラー展開した微小量に他ならない(もちろん、テイラー展開微分を定義してからなされるので、これを前提にするわけにはいかない)。多変数の微分は、
   
と定義することができない。なぜなら、h が というベクトルの形になるので、これで割るということの意味がないからである。また、偏微分は、方向微分を使って定義することもできる(「方向微分」の名は出てこない場合もあるけれど、こちらの方が普通だろう)。例えば、
   
のように。この場合は、(全)微分についての配慮が必要である。



複素数30講 (数学30講シリーズ)

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