レヴィット、ダブナー『ヤバい経済学』/プーシキン『オネーギン』

日曜日。雨。
音楽を聴く。■ツェムリンスキー:シンベリン組曲(コンロン)。

Orchestral Music

Orchestral Music

■ミヨー:ボヴァリー夫人のアルバムop.128a(タロー)。

図書館から借りてきた、スティーヴン・D・レヴィットとスティーヴン・J・ダブナーの共著『ヤバい経済学』読了。かなり有名な本なので、読んでみた。著者たちが云うように、本書に一貫性といったものはあまりないが、普通は経済学を使おうと思わないようなところに経済学が切り込む面白さを、本書は教えてくれる。日本で本書が引かれるときによく出てくるのが、相撲の八百長の問題で、それは警察が調べるまでもなく、データが語っているというものだ。他には、アメリカで犯罪が激減したのは、じつは妊娠中絶が合法化されたせいだとか、子供を殺すのに、銃よりも(個人宅の)プールの方が危険だとか、その他諸々の話題が満載されている。全体に通じるところがあるとすれば、経済学だから当り前の話だが、インセンティヴの重要さの強調であろうか。訳文もこなれていて上手いので、軽く読んでみるといいのでは。
ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

プーシキン『オネーギン』読了。始めの方を読んで古臭いラブ・ストーリーかと思ったら、傑作だった。この小説が傑作なのは、ひとえに最終章のおかげである。ここで、オネーギンとタチヤーナの立ち位置は完全に逆転している。ここが素晴らしくも恐ろしいところなのだ。モスクワの社交界の重鎮(?)となったかつての夢見る乙女は、叶えられることのなかった恋に今でも生きる価値を認めているが、既にオネーギンの求愛にびくともすることがない。かつては完全にすべてを掌握していたオネーギンは、死を間近にして初めて、己の無意味さを知らされるのである。なんとも恐ろしい小説ではないか。
オネーギン (岩波文庫 赤604-1)

オネーギン (岩波文庫 赤604-1)