位数が素数の群/クラインの四元群

(定理)有限群Gの位数は素数 p であるとする。
  (1)Gは巡回群である。
  (2)単位元以外の元は、すべて位数 p をもつ。
(証明)Gの単位元ではない元 a を任意に取ると、a の位数は 1 より大きく、かつ p の約数である(参照)。p は素数だから、a の位数は p でなければならない。したがって、Gは a によって生成される巡回群である。(証明終)


 位数 1 の群は、単位元 e だけからなる群である。
 位数 2,3 の群は、2,3 が素数だから巡回群である。
 位数 4 の群は、まず巡回群 がある(参照)。
 それ以外の位数 4 の群は、「クラインの四元群」というのがある。このような群Gは巡回群でないので、Gの単位元以外の元は、すべて位数が 2 である。すなわち、Gの任意の元 x に関して、 すなわち が成り立つ。よって
  
だから、この群は可換群である。そこで と置くと、ab は e,a,b のどれとも同じであってはならない。なぜなら ab=e ならば、 となってしまうし、ab=a ならば b=e となってしまうからである。したがって ab=c。同様に、結局
  
となる。これがクラインの四元群である。