開高健訳のオーウェル『動物農場』/『ボルヘス・エッセイ集』

日曜日。雨。
どんどん音楽を聴きたい。■オネゲル交響曲第二番(プラッソン)。おもしろい。モダン。■ベートーヴェン交響曲第三番(ティーレマン)。この演奏を聴いていて、どうもこの曲を充分に理解していなかったことに気づいた。当り前だがすごい古典的傑作であり、恐らくベートーヴェン交響曲の内の、最高傑作だと確信する。ティーレマンの指揮は、この曲のスケールの大きさを明らかにしている。

ジョージ・オーウェル動物農場』読了。開高健訳。本書はオーウェルの本であると同時に、開高健の本でもあろう。『動物農場』はかつて誰かの訳で読んでいたが、印象としては、昔読んだのと変らなかった。ただ、開高健の翻訳であるから、何度も読み返すに足る文章になっている。併録された開高のエッセイの中でも、この『動物農場』は最高度の賛辞を受けている。自分もそれに異論はない。
 個人的なことを云えば、自分が若い頃、開高健に熱中したのは正しかったと再確認した。彼に比べれば、現代日本の小説家など、ふやけ切っていると言い切れるが、時代もちがう。我々自身がふやけ切っているのだ。さて、オーウェルはペーパーバックを入れたダンボール箱に放り込んである筈だが、読み返すや否や。今では、英語を読むのもちょっと面倒な気もするが、そんなことではイカンねえ。しかし、ちくま文庫はどうして今頃、本書のようなものを文庫化したのだろう。拍手を送りたいが。

ボルヘス・エッセイ集』読了。既読のものもある筈だが、情けないことにまったく覚えていない。とにかくボルヘスは最高。自分も博覧強記な人間だったら、こういうものを書いてみたいと夢想するが、叶わぬことである。今ではボルヘスは相当数文庫版で読めるが、さらなる文庫化・ライブラリー化を望みたい。まっこと、ボルヘスを読むのは、至福の時間である。それから、どこの文庫でもいいが、ショーペンハウアーの「パレルガ・ウント・パラリーポメナ」全訳あたりを出してくれないものか。
ボルヘス・エッセイ集 (平凡社ライブラリー)

ボルヘス・エッセイ集 (平凡社ライブラリー)


音楽を聴く。■ギボンズ:コラールとオルガン音楽(サマリー、オックスフォード・カメラータ)。何とも美しい! ギボンズWikipedia)は中世イギリスの作曲家だが、その音楽がこれほど美しいとは。まさしく至福の時間を過ごすことができる。知ったのはグレン・グールド経由。それにしても、ハモった合唱ほど美しい「楽器」があるだろうか。オックスフォード・カメラータ万歳。
ギボンズ:賛美歌とオルガン作品集

ギボンズ:賛美歌とオルガン作品集