有限群の中の巡回部分群

Gを一般の有限群とし、その位数を n とする。Gの任意の元 a を取り、繰り返し積を作っていくと、
    
という系列が得られる。
 これらはすべてGの元だから、この中で異なるものは高々 n 個しかない。よって、s≦n+1 を満たす s で、 は、既に前に現れている或る に等しいものが存在する(1≦t<s≦n+1)。ゆえに単位元を e とすると、 となる(1≦s-t≦n)。これは、上の系列を左から見ていくと、 までに間に必ず、単位元となるようなものが現れることを示している。
 そこで、そのような元の中で最初に現れるもの、つまり を満たす最小の自然数 k を採る(k≦n)。すると、
    
と置くと、Hの元はすべて異なっており、さらにHはGの部分群で、巡回群となっている。このHを、「a から生成されたGの巡回部分群」といい、k を「a の位数」という。
 ここでの「位数」という語の使い方に注意。つまり、有限群Gの各元には、「位数」という自然数が対応することになる。位数 1 の元は、単位元に限る。
 巡回群の定義より、「群Gが位数 n の巡回群である」(ここでの「位数 n」は、群Gの元の個数)ということは、「群Gに位数 n の元が存在する」(ここでの「位数 n」は、)ということと同じである。
 有限群は、必ず巡回部分群を含む。