中村禎里『生物学の歴史』/マイケル・モナスティルスキー『フィールズ賞で見る現代数学』

晴。溽暑。驟雨。
音楽を聴く。■ショパンマズルカop.17, op.24, op.30(ルイサダ旧盤)。■モーツァルトクラリネット五重奏曲K.581(ライト他)。ジュリアード四重奏団のモーツァルトBOXのオマケの演奏。最上の演奏と云うわけではないが、しかしいい曲だね。繰り返しがあるともっとよかった。
カルコス。何かのムックの、澁澤龍彦特集を立ち読み。中沢新一澁澤龍彦論(二〇〇二年、単行本未収録)を読む。自分の貧しさの原因は何だろうと頻りに思う。ただ単に、才能がないというだけなのだろうか。それならシンプルなのだが。何か壁か膜のようなものがあるような気がして仕方がない。他の文章もつまみ食いしてみるが、つまらない。堀江敏幸はやはりダメ。この人は何か大切なことがわかっていない。

中村禎里『生物学の歴史』読了。古代ギリシアからの生物学の通史であるが、著者も漏らしているように、演繹性の乏しい生物学という学問の歴史をまとめるというのは、物理学の歴史を書くようにはいかない。ゆえにトピックの選択が重要になってくるわけだが、それは本書ではおおよそ妥当であったのではないか。印象としては、生物学は二十世紀になってから爆発的に発展するわけであるが、それ以前の歴史に多く頁を割いたという感じである。二十世紀以降の歴史については、中身が大変に専門的になってくるので、読むにはある程度の化学と生物学の知識が必要になってくるであろう。分子生物学など、ここらあたりは、正直言ってどうしても説明不足になるのはやむを得まい。恐らくそれもあってか、二十世紀半ば以降の歴史はオミットされている。それを補うのは、専門的な教科書を読むしかないだろう。個人的には、本書ではダーウィン以前が面白かった。

マイケル・モナスティルスキー『フィールズ賞で見る現代数学』読了。これは「背伸び派」たる自分にぴったりの本ではないか! フィールズ賞から見られる現代数学の歴史を、二〇〇ページほどに圧縮している。記述は本書の性格上、厳密ではあり得ないので、これは誰にとっても、現代数学の全貌を概観すると共に、「雰囲気を楽しむ」ための本でもあろう。こういう本は、少年の時のように、すごい世界もあるもんだと、読んでワクワクしてくる。だから、一気に通読しましたね。日本人の小平邦彦先生や、広中平祐先生が如何に偉大な数学者だったか、知られるのも嬉しい。是非、高校生なんかに読んでもらいたくなる。
フィールズ賞で見る現代数学 (ちくま学芸文庫)

フィールズ賞で見る現代数学 (ちくま学芸文庫)


音楽を聴く。■ショパン:バラード第一番(ペライア)。■ショパン:バラード第一番、第二番(ポリーニ)。壊れているなあ。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第九番、第十番(リヒテル1947,1962)。