晴。
原武史『団地の空間政治学』読了。題名どおりの本で、戦後史を考えるに「団地」というものに照明を当てたのは、着眼点が素晴らしい。恐らく、類書はほとんどないのではないか。『鉄道ひとつばなし』のシリーズの著者らしい視点も、本書の強みである。ただ、本書が扱っている団地は、基本的に東京中心で、後は関西の一部だけであり、確かにこれだけでも画期的なのだが、地方都市についてはまったく述べられてはいない。地方在住者としては、そのあたりは残念でないこともない。いずれにせよ、戦後の家族形態に形を与えたものとして団地を考えることは、これからの共通認識となるべきであろう。ここで醸成された「一家族一住居」という家族形態は、マスメディアの影響もあり、地方都市も含め、日本全体に及んでいくのである。
- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/09/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: エドモンド・ハミルトン,中村融
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/09/05
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佐渡裕指揮パリ管の、ベルリオーズ「幻想交響曲」を聴く。佐渡裕を聴くのは初めてで、じつは著書を先に読んでしまっている。バーンスタインの愛弟子であり、晩年のバーンスタインにとてもかわいがられたのであった。聴き始めてすぐに、これは大変な才能だとわかる。ただ、形容がむずかしい。とても個性的であり、バーンスタインも含め、他の誰にも似ていないと云っていい。このディスクは2002年のライブ録音であるが、熱いだけでなく、当り前だが、コントロールは決して失わない冷静さもある。そう、曲が立体的に聴こえる演奏というか。このベルリオーズだけでははっきりしたことは云えないが、この人は「天才肌」の指揮者という感じがする。とにかくユニークな幻想交響曲だ。最後の聴衆の熱狂もすごい。佐渡裕、さらに聴いてみたくなった。
- アーティスト: 佐渡裕,ベルリオーズ,パリ管弦楽団
- 出版社/メーカー: エイベックス・クラシックス
- 発売日: 2005/01/19
- メディア: CD
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