カルロ・ギンズブルグ『裁判官と歴史家』

曇。驟雨。
保険屋来訪。
カルロ・ギンズブルグ『裁判官と歴史家』読了。知人が被告に立った、冤罪裁判に対する弾劾であるのと同時に、魔女狩りを研究の出発点にした歴史家による、裁判官と歴史家の相違を考察した本になっている。そう、我が国の最近の例(鈴木宗男佐藤優小沢一郎らに対する裁判)でもあからさまになったように、本書でも、冤罪は検察官以上に、裁判官がつくるものだということがはっきりわかる。検察の虚構にどれほど綻びが出ようと、裁判官がその穴を積極的に埋めていくのだ。そうでもしないと、実際に冤罪ということはむずかしいのである。本書では、しどろもどろになった証人に対し、裁判官が積極的に助け舟を出しているところがたくさんある。こんなことで驚いていてはいけないのかも知れないが、やはり驚くし、権力というものはそうなのだと得心させられもする。

裁判官と歴史家 (ちくま学芸文庫)

裁判官と歴史家 (ちくま学芸文庫)