志賀浩二『位相への30講』の読書メモ

図書館から借りてきた、志賀浩二『位相への30講』の単なるメモです。

位相への30講 (数学30講シリーズ)

位相への30講 (数学30講シリーズ)

※第3講
・1点Pだけからなる集合は閉集合である。有限個の点からなる集合も閉集合である。(p.23)
・数直線上で、有理数を座標にもつ点全体のつくる集合は、開集合でも閉集合でもない。(p.23)
・開集合の系列 が与えられたとき、共通部分
は、開集合になるときもあるし、ならないときもある。同様に、閉集合の系列 が与えられたとき、
は、閉集合になるときもあるし、ならないときもある。(p.24-25)

※第4講
・数直線上の集合
  
の集積点の集合は、
  
である。(p.33)
有理数の集合も無理数の集合も、実数のような「連続性」の性質をもたない。(p.33)
・点Pが集合Mの集積点とならないための必要かつ十分な条件は、十分小さい正数εが存在して、
  
が成り立つことである( は点Pのε近傍)。このとき、点PはMの「孤立点」という。このような点Pのまわりには、Mの点はまったく存在しない。結局、Mの任意の点Pは、Mの孤立点か集積点のいずれかである。(p.34)

※第5講
・集合Mの中から任意に無限点列をとったとき、この無限点列はMの中に必ず集積点をもつ。このときMはコンパクトであるという。(p.38)
有界閉集合はコンパクトであり、その逆も成り立つ。(p.39)

※第6講
写像φによるAとBの像で、φ(A∩B)とφ(A)∩φ(B)は必ずしも等しくないので注意。一般的にはφ(A∩B)⊆φ(A)∩φ(B)である。(p.45)

※第8講
・φが連続写像であるためには、任意の開集合Oに対して、 が開集合であることが必要十分である。またこれは、この「開集合」を「閉集合」に置き換えても成り立つ。(p.60-61)
・開集合の連続写像による像は、必ずしも開集合とは限らない。閉集合でも同じである。(p.61)

※第9講
以下、Mはすべて部分集合である。
・Mの点Pに対して、Mにおける点Pのε近傍 は、
  
で定義される。Mとε近傍の共通部分というわけである。(p.65)
・Mにおける開集合 とは、任意の点 に対して、十分小さい正数εをとると、 が成り立つような集合である。(p.66)
・Mにおける閉集合 とは、 の点列 がn→∞のとき、Mの点Pに近づくならば、 が成り立つような集合である。(p.66)
・Mの一点Pによる部分集合{P}は、Mの開集合でもあり、かつ閉集合でもある。(p.66)
・Mが集合XとYからなっており、XとYの共通部分が空集合である(すなわち、XとYが離れ小島になっている)とき、XもYも共にMの開集合でもあり、かつ閉集合でもある。XとYが離れ小島になっていない場合、Mは連結な集合であるという。(p.66-67)
・Mを連結な集合とし、Mからの写像φが連続写像であるならば、Mの像φ(M)も連結な集合となる。(p.69)

※第12講
・実数の無限列 全体のつくる集合 に、距離dを定義する。 に対して、例えば
  
などと定義すると、これは距離になる。

※第15講
・「Xで定義された写像φが連続である」\Leftrightarrow「Xのすべての部分集合Sに対して が成り立つ」( はSの閉包。)(p.109)

※第16講
・一般に、写像φが連続であっても、その逆写像は必ずしも連続ではない。(p.114)
距離空間(X,d)から(Y,d')への一対一連続写像φがあって、その逆写像連続写像であれば、XとYは同相であるといい、φはXからYへの同相写像という。(p.115)

※第17講
距離空間Xがコンパクトになるためには、Xが有限被覆性をもつことが必要十分である。(p.124)
・単位円の内部 は(全平面と同相なので)コンパクトではない。しかし、それに円周をつけくわえた はコンパクトである。(p.123-4)

※第18講
・一般には、連結であっても弧状連結であるとは限らない。(p.133)

※第19講
・コーシー列の集積点は、もし存在すればただ一点であり、コーシー列はその点に収束する。(p.138)
距離空間(X,d)において、任意のコーシー列が、必ずある点に収束するとき、Xを完備であるという。実数全体の集合は完備な距離空間であるが、それと同相な開区間I=(-1,1)は完備でない。なぜなら、コーシー列 1/2, 2/3,…,n-1/n はIにおいて収束する点がない。(p.138)

※第30講
・n次元ユークリッド空間は加算基をもつ。これは でも成立する。(p.210)
・加算基をもつ正規空間は、すべて の部分空間と考えてよい。(p.212)