アダム・カバット『江戸滑稽化物尽くし』/岡本太郎の宇宙2『太郎誕生』

曇。
アダム・カバット『江戸滑稽化物尽くし』読了。好著。黄表紙に見られる、滑稽で愛らしい化物たちに関する論考である。江戸の人々は、笑いのセンスが良かったのだな。化物といっても、怖いというよりは、笑える存在なのだ。

岡本太郎の宇宙2『太郎誕生』読了。両親が偉大な芸術家だというのは、その子供にとって、多かれ少なかれ負担にならざるを得ないが、太郎はそれを真正面から受けとった。その重荷は、生涯彼を押しつぶそうとしたが、太郎はその恐るべき緊張を生き抜いたのだった。それにしても、ピカソを見て涙を流したというのは、世界広しといえど、太郎以外にどれほどいただろうか。太郎に云わせると、それは鑑賞者として見たからではなく、創作者として見たからだという。さもありなん。また、ピカソを称揚したものは掃いて捨てるほどいたが、創作者として、ピカソの課題をまっすぐに受け止め、さらに先へいこうとした者も、太郎の他に挙げるべき者はほとんどいないだろう。
明日から三日間、旅行の予定だが、最悪の天気になりそう。