点と直線の距離について

点P
   P(x{1$\1}, y{1$\1})
から直線
   ax+by+c=0
へ垂線の足Hを下すとき、PとHの距離(点Pと直線の距離)d=PH
   d=\frac{|ax_1+by_1+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}
となる。また、このとき、
   H(\frac{b^2x_1-aby_1-ca}{a^2+b^2},\;\frac{-abx_1+a^2y_1-cb}{a^2+b^2})
である。(これらを求めるには、以下を参考にするとよい。直線がパラメーター表示の場合は、さらにその下を参照。)
 原点をOとする。直線は\vec{PH}と直交するので、
   \vec{PH}=k\vec{OA},   \vec{OA}=(a,b),   \vec{OP}=(x{1$\1}, y{1$\1})
とおけるから、
   \vec{OH}=\vec{OP}+\vec{PH}=\vec{OP}+k\vec{OA}          (1)
   \vec{OA}\cdot\vec{OH}=-c                        (2)
より、(1)式の両辺と\vec{OA}との内積をとって(2)式を代入すると、
   k=\frac{\vec{OA}\cdot\vec{OH}-\vec{OA}\cdot\vec{OP}}{|\vec{OA}|^2}=-\frac{ax_1+by_1+c}{a^2+b^2} 。
dは
   d=|\vec{PH}|=|k||\vec{OA}|=|k|\sqrt{a^2+b^2}
を使って求める。また、点Hは\vec{OH}に等しいので、これは導かれたkを(1)式に代入して求めればよい。
 参考までに、(2)式は次のように導出する。
   \vec{OX}=(x,y)
とおくと、直線と同値の式
   \vec{OA}\cdot\vec{OX}=-c
を使って、
   \vec{PH}\cdot\vec{HX}=0
   \Leftrightarrow\;k\vec{OA}\cdot(\vec{OX}-\vec{OH})=0
   \therefore\;\vec{OA}\cdot\vec{OH}=-c 。

直線がパラメーター表示される場合(3次元も含む)

点P、点Hの意味は同じとして、定点Aを通る直線がtでパラメーター表示される場合を考えよう。直線上の点をX、直線の方向ベクトルを\vec{n}とすると、直線は
   \vec{OX}=\vec{OA}+t\vec{n}
と表せる。t=t_{1$\1}のとき点Xが点Hに一致するとすれば、もちろん
   \vec{OH}=\vec{OA}+t_{1$\1}\vec{n}                  (3)
だから、これを
   \vec{PH}\cdot\vec{n}=0
   \Leftrightarrow\;(\vec{OH}-\vec{OP})\cdot\vec{n}=0
に代入してt_{1$\1}について解くと、
   t_{1$\1}=\frac{\vec{OP}\cdot\vec{n}-\vec{OA}\cdot\vec{n}}{|\vec{n}|^2}=\frac{\vec{AP}\cdot\vec{n}}{|\vec{n}|^2} 。
よって、点Hの座標は、これを(3)式に代入して
   \vec{OH}=\vec{OA}+\frac{\vec{AP}\cdot\vec{n}}{|\vec{n}|^2}\vec{n}
と求められる。また、点Pと直線の距離dは、
   d=|\vec{PH}|=|\vec{OH}-\vec{OP}|=|\frac{\vec{AP}\cdot\vec{n}}{|\vec{n}|^2}\vec{n}-\vec{AP}|
と求められる。なおこれは、直線と\vec{AP}のなす角を\thetaとおけば、当然ながら
   d=|\vec{PH}|=|\vec{AP}|\sin\theta
と簡単に書ける。以上は、2次元でも3次元でも(何次元でも)成りたつ。