オットー『聖なるもの』/北村薫『自分だけの一冊』

蝋梅

晴。
プールへ行ったら、またしても休みだった。今度は臨時修理。まぬけ。アピタ

オットー『聖なるもの』読了。新訳。本書の底流には、キリスト教こそ宗教の最高形態だという発想がある。このことは訳者も指摘している。

本書の根本的なねらいとは、諸宗教におけるキリスト教の卓越性を「聖なるもの」の構造から論証すること、そして、イエス時代の人々が有した「聖なるもの」としてのキリスト教の啓示体験が現代においても有効であることを主張すること、の二点である。(p.456)
こうしてみると、『聖なるもの』は、宗教現象学的考察のみがクローズアップされ、オットーすなわち「ヌミノーゼの宗教学者」といったイメージがすっかり一人歩きしているが、かれにすれば重心はキリスト教の卓越性、その信仰の有効性を主張するところにあり、そういう意味で本書はあくまで「キリスト教神学者」の立場から書かれたものである。……それにもかかわらず、『聖なるもの』を有名にしたのは、まさにこの予備的・序説的位置付けでしかなかった宗教現象学的考察にほかならない。(p.458)

聖なるもの (岩波文庫)

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北村薫『自分だけの一冊』読了。よく読んでいるなあ。
自分だけの一冊―北村薫のアンソロジー教室 (新潮新書)

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